バブル入社

第11循環拡張期、いわゆる「バブル景気」に沸いていた時期に就職した世代で、2015年現在で44歳~54歳くらいの世代が該当する。

管理職になれない高給取りが多いためリストラのターゲットになりやすい

「入社してくれたら高級車をプレゼントします」という超売り手市場だった時代

日本にお金が有り余っている時代があった。とりわけ土地の価格が日に日に上がりつづけ、借金をして土地を買い、転売すれば借金を返してもまだ儲けが残った。

平均株価は1989年12月29日の大納会での終値が38915円87銭という、今では信じられない高値を記録している。

qdavv

1986年~1991年頃の日本は好景気に沸き、就職戦線は超売り手市場。「わが社に入社してくれたら、ベンツを1人1台ずつプレゼントします」という企業まで現れる始末。

学歴や能力がなくても大手企業に就職できた夢のような時代。100社以上受けても内定がもらえない時代が来るなんて、あの時代の誰が予測しただろうか。

誰もが「この時代が永遠に続く」と思っていた。ところが株価は1989年の大納会をピークに、その後は下がり続け、1990年10月にはとうとう20000円を割った。わずか9カ月あまりで半値近くまで暴落したのである。

湾岸危機、石油高、公定歩合の引き上げなどさまざまな要因が絡み合って景気は後退に転じ、その後の20数年間、日本は地を這うような不景気に苦しむことになる。

夢のような好景気がまるで泡のようにはじけたので、後に「バブル景気」と呼ばれた。

この時期に新卒で就職した世代は、大きく2つに分けられる。

◎大卒
1965年~1969年に生まれた世代で、就職活動で苦労した思い出は皆無に近いはず。ただし最後のバブル世代と呼ばれる1965年生まれの就職は、比較的困難だったといわれる。

◎高卒
1969年~1973年に生まれた世代。60年代後半生まれの求人倍率は1.5~2倍と低かったが、最後の73年生まれが就職する頃には3.34倍になっていた。

今や「人材の不良債権」と揶揄(やゆ)されてリストラの第一候補に

バブル経済が崩壊した後はどの企業も新規採用を控え、人材を厳選したため、本当に必要な能力を有していなければ採用されない時代になった。

一方でバブル入社組は同期入社が最も多い世代でもあり、出世競争が激烈を極めたという。大量に採用しても、ポストが増えるわけではない。ましてやバブル崩壊で発生した不良債権を整理するため、どの企業も事業規模を縮小したり、一部を手放したりしていたのでポストが減り、昇進はますます狭き門になる。

さらにいえば「誰でも採用してしまった」ので、企業は優秀な人材が少ないという問題にも直面していた。後の就職氷河期を勝ち抜いて入社してきた優秀な後輩からは「人材の不良債権」と陰口をたたかれるほど、企業にとってお荷物になっていたのだ。

企業が事業規模を縮小したり手放したりするときに、同時に行われるのが人員整理である。会社に貢献しない、あるいは今後の成長が見込めない社員には辞めてもらい、人件費を圧縮したい。

qefrgqv

そのターゲットになった中で最も多いのが、バブル入社組だった。年功序列が残っていた時代なので、年齢とともに給料も上がってきた。

40歳代半ばで年収1000万円を超える社員もいる。優秀な人は順調に昇進して管理職になっているが、そうでない人はなかなか昇進できないのに高給取り。そうなると、格好のターゲットである。

余談ながら、バブル入社組は、ちょうど子供を学校へ通わせている世代でもある。世にいう「モンスターペアレント」とバブル入社組の世代が重なるという。

本人は「同期入社なら、能力も同じはず」と思い込んでいるため、なかなか昇進できないことに加えて、人員整理の対象にされたことに大きな不満を抱いている。

その鬱憤(うっぷん)の捌(は)け口を求めてモンスター化してしまうという説もあるのだが、真偽のほどは定かではない。

 

関連用語:会社のゼブラ化 草食系ブラック企業 ホワイト企業

 

平藤清刀



 

Copyright ブラック企業 転職エージェント評価 2015 All Rights Reserved.

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
PAGE TOP ↑