自主退職

労働者自身の事情で退職を申し出て、会社に承認されて退社すること。「自己都合退職」または「依願退職」ともいう。一般的に「円満退職」という場合は、自主退職のことを指す。

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法律上は2週間前に申し出れば退職できる

●自主退職に偽装した不当解雇の事例

本人が解雇されたと思ってその不当性を訴えると、会社からは「君は自分から辞めたんだよな?」と反論される事例が結構あるという。そんな食い違いが、なぜ生じるのだろうか。

不況の影響で会社の業績が悪化して、残業代が出ないことになったとする。生活がかかっている社員はたまらず不服を訴えるが、会社は「イヤなら辞めてくれていいよ」と開き直る。売り言葉に買い言葉で、ある社員が退職届を出して会社を去り、その後「解雇予告手当」を請求する訴えを起こした。平成10年に大阪地方裁判所で実際に争われた事例がある。

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民法の規定では、社員を解雇するときは30日前に予告するか、1カ月分以上の解雇予告手当を支払うことが定められている。社則に同様の規定があって民法と食い違いがある場合は、民法の規定が優先される。

この社員は「他に選択肢がなかったので解雇だ」と訴えた。これに対して会社の代表は「解雇ではなく、自主退職だ」と反論したが、大阪地裁は「退職を申し出たのは原告である」としながらも社員の訴えを認めた。

その判決理由を要約すると、

『原告は残業代の請求権を永久に放棄するか、退職するか二者択一を迫られた。この状況で退職を選択しても自発的意思によるとは言えず、実質的な解雇通告と言える。以上のように考えなければ、使用者は労働基準法に違反した労働条件を強要して退職を余儀なくさせ、解雇予告手当の支払いを免れることを許してしまう』というものだった。

労働規約が必ずしも労働基準法に則(のっと)った内容になっていない場合があることが、この裁判で明るみになったわけだ。
今勤めている会社、あるいは転職しようとしている会社の労働規約がどうなっているのか、今一度よく検討してみよう。

●ブラック企業から円満に脱出するには

社員を使い捨てにして、使えない社員は退職に追い込んで行く。そんなブラック企業がある一方で、なかなか辞めさせてくれないブラック企業もある。

過酷な労働条件に耐えかねて、潰される前に自分から辞めよう。そう考えるのが人情というもの。

日頃から鬼のように怖い上司のもとへ、勇気を振り絞って退職の意思を伝えに行くと、「お前が抜けた穴埋めはどうすんだよ! 迷惑料を払え」とか「やる気のない奴はこっちからクビだ。再就職できないようにしてやる」と脅されることがある。あるいは退職届を受理されても、退職日をズルズルと先延ばしされて結局辞められないとか、離職票など退職に伴う書類を作成してくれないなどの嫌がらせを受けることも少なくない。

民法の規定では、自ら退職を申し出る場合は、2週間前に意思表示すれば良いことになっている。

そもそもブラック企業を円満退職することなんか初めから期待できないので、さまざまな脅しや嫌がらせを受けることを想定して動くほうが良い。シフト表や出勤簿をひそかにコピーする。ポケットにICレコーダーを忍ばせておいて、退職を申し出たときの上司との会話を録音する。日頃の上司とのやり取りを、その内容・日付・時間まで逐一メモしておくなど、証拠を残しておこう。

退職した後で会社から「勝手に辞められて迷惑している。損害も出ているから弁償しろ」と言ってくる場合がある。また、会社はどうせ払う気がないであろう退職金を請求したり、未払い分の残業代を巡って交渉したりすることになるので、こうして証拠を残しておけば、あくまで自主退職であることを主張できる。

いったん入ってしまったら何かと厄介なブラック企業から「脱出」するには、ふつうの会社を辞める何倍ものエネルギーが必要なのだ。

 

平藤清刀



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