人事考課(人事評価・査定)

業務に対する従業員の貢献度および職務遂行度を評価すること、またはその制度。公務員の「勤務評定」も、おおむね同じ意味である。

人が人を評価する難しさは永遠の課題

人事考課にクレームをつける若手社員が増えている

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入社4年目のAさんは、前期に上司から指導されることが多かった書類のミスや納期遅れもなくなり、かえって褒められることの多かった半年を振り返って「これで前期のB評価からA評価に上がる」という手ごたえを感じていた。

ところが半期ごとに行われる上司との面談で告げられたのは「今期の評価はBとなった」ということ。

「どうしてですか? ミスはなくなったし、目覚ましい成長がみられると褒めてくださったじゃないですか!」

Aさんは思わず激昂して、上司に噛(か)みついた。同期の中には入社以来ずっとA評価の者もいる。自分と比べても、とびぬけて優秀には見えない。

「いったいどうやったら、A評価がもらえるんですか!?」
「人事考課の詳細については回答できない」

上司は「以上、おわり」と告げると、Aさんを部屋から出るよう促した。

Aさんが勤める会社では、人事考課でランクがひとつ違うと、ボーナスの査定で10万円ほどの差が出る。差が付くのは、それだけではない。

昇給や昇進にも影響し、それもまた給与に反映されるから、将来の生活設計に関わる大問題なのだ。

かつては人事考課に文句を言う社員はいなかった。上司に噛みつくなんて、ますます評価を落とすだけだ。だがここ数年、人事考課の根拠を求めたり、評価に不満を訴えたりする若手社員が増えているという。

年功序列や終身雇用といった伝統が崩れてきて、少しくらい評価が悪くても会社を辞めさえしなければ生活は安泰という時代ではなくなった。

会社に必要とされなくなったら、退職に追い込まれる危機感が常につきまとう。スキルアップするために転職するのが当たり前になった時代では、転職活動をする際に前職の人事考課が少なからず影響するのだ。

不信を招く人事考課はNG

人事考課のことを「査定」と呼んだのは昭和の時代までといわれている。「昇進の査定」とか「ボーナスの査定」という言葉を聞いたことがある人も多いだろう。しかし「査定」という言葉には「調査して決定する」という意味があり、会社が一方的に決めるイメージが良くないという考え方が広がってきたため、今では多くの企業が「人事考課」あるいは「人事評価」という呼び方に改めている。

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その評価の基準は「人物評価」と「職能評価」の2本立てで行われ、社員に点数を付けてランク付けするというよりも、足りないところを発見し、成長を促すために活用するという考え方が主流だ。

ところが人事考課は、どうしても人が人を評価するという難しさがつきまとう。そこで、でき得る限り公平かつ公正に行なうことが求められる。

「本当に適正に評価されているのか」と不審を抱かれたら、上司と部下の信頼関係が崩れてしまう。そのため上司が部下を評価するだけでなく、社員自身に自己評価させ、上司とマンツーマンで面談して一緒に擦り合わせていく方法を採用する企業も増え始めているという。

では、どのような人事考課が納得されるのか、あるいは不信を招くのか。それぞれの条件を列挙してみた。評価する側・される側双方にとって参考になるだろう。

◎公平・公正な人事考課
・客観的な基準を設けて公開する。
・相対評価ではなく、基準に厳正な絶対評価を行う。
・事実のみに基づいて評価する。
・結果を本人に通知する。

◎不信を抱かれる人事考課
・評価の基準を明らかにしない。
・上司の好き嫌い、または先入観などで直感的に評価する。
・「~のような気がする」「~に見える」といった印象や想像を交えて評価する。
・私生活のことまで考課の対象にする。
・上司の独り善がりな価値観で評価する。
・結果を本人に知らせない。

 

平藤清刀



 

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