企業理念

企業理念とは、企業の存在意義、企業の使命を表すものであり、社内共通の価値基準、行動基準として重要な役割を果たすものである。企業によって表現方法はさまざまで、内容も異なる。経営理念、社是、社訓も同義で使用される場合がある。

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◆お題目を唱えるのでは苦痛なだけ 企業理念の本質理解に意味がある

・企業の「性格」を表す バラエティに富む企業理念

企業理念の内容には、企業の使命である基本目的・基本目標、株主などのステークホルダー(利害関係者)に対する経営姿勢、従業員の行動規範、などの要素が包括されることが多い。また最近では、社会貢献や地球環境へ配慮した要素も重視される。

日本を代表する会社、トヨタ自動車株式会社の企業理念は、同社ホームページによると、「内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす」「各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する」など7つの項目で構成される。

あらゆるステークホルダーに配慮した結果なのか、普遍的な文章が並ぶが、同社の創始者、豊田佐吉の考え方をまとめた「豊田綱領」を企業理念の一部として併記することで、同社のオリジナリティが表現されている。

短いメッセージとして企業理念を表現する企業も多い。例えば、2011年に東証一部に上場し、急成長中のクックパッド株式会社の企業理念は、「毎日の料理を楽しみにすることで、心からの笑顔を増やす」である。

従業員の行動指針的な要素は前面にださず、顧客への姿勢を打ち出している。また、家具・インテリア用品を展開する株式会社ニトリは、企業理念を「ロマン」と呼び、「住まいの豊かさを世界の人々に発信する」と端的にまとめている。

企業の基本姿勢を表したメッセージである。

ここに挙げたのはほんの一例であるが、企業理念は、その企業が展開する事業の内容や規模によって、また、経営者の思想によって、さまざまな形で設定されている。

・従業員にどう理解させるか 企業側に努力が必要

企業理念を確立し、社外に公表するだけでなく、社内共通の価値基準として従業員一人ひとりに浸透させることは、企業が存続するために重要なことである。企業がその価値観を表明することと財務業績には正の相関関係があるという論文もあるほどだ。

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企業理念を社内へ浸透させる手法は様々にあるが、有名なのはザ・リッツ・カールトンホテルの「クレド・カード」だろう。「クレド」は「信条」と訳され、カードには同ホテルの使命や客へ提供するサービスの心得が書かれている。

世界中の従業員が企業理念を理解するよう、同ホテルグループでは「クレド・カード」を常に携帯することを従業員に義務づけているという。

同様に、日本企業ではおなじみの、社是を額縁にいれて掲示する、毎日の朝礼で社訓を唱和する、社歌を斉唱するなども企業理念を従業員に浸透させる手法である。

パナソニックなどの大企業でも広く行われている。しかし、「訳のわからない社訓を唱えさせられた」「新入社員研修で社訓を大声で言わされた」というように、社訓を唱和すること自体、「企業が従業員を洗脳している」「ブラック企業の証拠」とする風潮もある。

確かに、「とにかく暗記しろ」と、その企業理念が生まれた背景や目的を知らずに字面だけを暗唱するのでは、従業員にとって苦痛以外の何ものでもないだろう。

一方、その本質を理解することで、従業員が一体となって仕事をすすめることができれば、企業として発揮できる力は何倍にもなるはずである。

なぜ企業理念を従業員に知らしめるのか、理念に込めた思いを丁寧に伝えることが経営者には求められる。



 

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