昇進(昇任)・降格(降任)

昇進とは、現在より上の役職に任用されること。「昇任」は社内の格付けやランクが上がること。逆に下の役職に降ろされることを降格または降任といい、懲戒処分の一環で行われることがある。

一般企業にも階級のようなものがある

「昇進」と「昇任」はどう違う?

「昇進」というのは、単純に言えば係長⇒課長⇒部長というように、役職が上がること。これに対して「昇任」とは、社員の等級が上がることをいう。

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これが混同されやすく、はっきりした違いが理解されていないことが多いようだ。

社長から平社員に至るまで全員横並びという会社は、おそらく存在しない。軍隊ほど厳格ではないにしても、一般の企業にも階級制度に似たシステムがある。

会社によって呼び方は異なるものの、社員のキャリアや能力に応じて「等級」が割り振られているのが一般的である。

たとえばある企業では営業職の社員に対して「10級営業職」~「1級営業職」という等級を設けて、高卒の新入社員は10級からスタート、大卒は8級からスタートし、そこから上の等級へは昇任試験で選考という運用をしている。

また等級は、役職に就くための資格でもある。たとえば上記の例でいうと「係長は6級または5級から任命する」とか「課長は4級以上から任命する」というように、たんに長く勤めているだけでは役職に就くことができないのである。言い換えると、等級が上がらないと、平社員のまま定年を迎える羽目になる。もっとも今では、その前に辞めさせられるかもしれないが……。

能力不足や懲戒処分で役職や等級を下げられることもある

会社に長く勤め続けていると、自動的に昇進したり昇任したりするわけではない。場合によっては下げられることもある。

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たとえば過失や故意で会社に重大な損害を与えたようなとき、いちばん重い懲戒処分は免職である。しかし辞めさせるほどではない場合には、「降格」という処分が下されることがある。

たとえば課長だった人を係長に「格下げ」して、それに伴う人事考課のランク下げや労働条件の改悪を強いる。おそらく本人の生活水準や人生設計にも影響するから、それなりに厳しい処分ではある。

免職を免れているので、そのまま勤め続けることはできるが、多くの場合は自ら退職するという。

考えてみれば当然で、昨日まで課長だったのに今日から係長に格下げされたというのは、なんとも「カッコわるい」ことに違いない。よほど神経が図太くないと、周りからの冷たい視線に耐えながら勤め続けることは難しいだろう。

懲戒処分によるほか、現在の職務を行うにあたって能力が足りないと判断された場合にも降格されることがある。

だから同期の誰よりも早く昇進したからといって、決してその地位に胡坐(あぐら)をかいてはいられない。常に新しい情報に触れて勉強し続けなければ、すぐに追い越されるどころか、振り出しに戻されてしまうことがある。人生は日々勉強なのだ。

ちなみに、一般の人にはなじみが薄いけれども、軍隊の階級制度を例に「昇進」と「昇任」の説明を補足してみよう。

同じ大尉でも「中隊長」をやっている人と、その上の「大隊長」をやっている人がいる。ところが「大隊長」には、大尉のひとつ上の階級である少佐もいる。

この場合、中隊長から大隊長へ就任するのが「昇進」で、大尉から少佐へ階級が上がるのが「昇任」である。だから大尉の大隊長が、役職はそのままで少佐に昇任することもあるわけだ。

 

平藤清刀



 

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