東京電力

安全管理の不行き届きに多重下請け問題
現場作業員への配慮はあるのか

国際的な酷評を受け、世界最悪の企業第2位に

2011年3月11日に東北沖を震源とする大地震の影響で発生した津波が、福島第一原子力発電所(東京電力株式会社)に押し寄せた。電源が喪失し、原子炉をコントロールできなかったことで、メルトダウン(炉心溶融)、水素ガス爆発、水蒸気爆発が相次いで起きたことと対応のまずさが、日本国内はもちろん国際社会からも酷評された。

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放射性物質の放出をともなったこの事故が社会のみならず地球の環境に与えた影響の大きさは計り知れないとして、同社は2012年にブラック企業大賞を受賞するという不名誉を被った。

また同年、世界規模での環境問題に取り組む国際環境NGOグリーンピースが行った最悪の企業を選ぶ「パブリックアイ・アワード」でも、アマゾン川の支流のひとつに巨大ダムの建設を進めようとして1位となったブラジルの「VALE(ヴァーレ)」に次いで、世界第2位という汚名がついた。

その理由の一つに「原発で働く労働者への安全管理や教育が不十分」だったことや、「事故後の情報公表の遅延・嘘・隠蔽(いんぺい)・改ざん」があったことが指摘されている。

白血病を発症した男性に事故後初めての労災認定

福島第一原発の事故以降、同社の社員や原発作業員の放射線被ばくが問題視され、それに起因するといわれる病気を作業員が発症したり死亡したりするニュースが今も後を絶たない。ところが同社は、被ばくが直接的な原因であることを断定できないとし、関係を否定し続けてきた。

しかし2015年10月、白血病を発症した元作業員の男性が富岡労働基準監督署(福島県)に労働災害を申請し、初めて放射線被ばくが原因とされる労災が認定された。

男性は2011年11月から2012年10月まで他の原子力発電所で働いたのち、2013年12月までの1年2カ月の間、福島第一原発で収束作業に従事。退職したのち白血病を発症した。

厚生労働省の専門家が病気と被ばくとの因果関係を分析した結果、男性が福島第一原発内で被ばくした線量が、これまでの作業員たちの被ばく線量の中で最も高い15.7ミリシーベルト、他の原発で働いていた約1年間の被ばく線量と合わせると19.8ミリシーベルトにも達していたことがわかった。
(日本経済新聞2015年10月20日。http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20HBA_Q5A021C1CR8000/)

なお、放射線被ばくに起因する白血病は「年間5ミリシーベルトを被ばくし、被ばくから少なくとも1年を超えてから発症した場合、業務以外の要因が明らかでなければ労災を認定する」という基準がある。

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現場作業員の労働問題が露見
企業としての責務はどこに?

東電がブラック企業と噂されてきたのは、原発事故だけに起因しているわけではない。多重下請構造も、以前から問題視されてきた。

同社はかつて、下請けは4次までとしていたが、福島県いわき市の渡辺博之市議が「原発労働問題シンポジウム」(2011年8月・日弁連)で行った報告によれば、実際には6次、7次まであるという。

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その構造とは、発電事業主である東京電力の下にいわゆる東電3社と呼ばれる東電工業株式会社、株式会社東京エネシス、東京パワーテクノロジー株式会社(旧東電環境エンジニアリング株式会社)と原子炉をはじめとするメーカー、その下請会社、さらに地元專門業者、労働者派遣会社という順で請負の「階層」が構築されている。場合によっては、労働者派遣会社の下にさらに別の派遣会社がぶら下がっていることもある。

実際に現場で作業する作業員は、派遣社員または日雇いアルバイトがほとんどである。

労働者へ業務を指示できるのは直接の雇用主なので、こういった何重にも重なる下請構造では指揮系統が複雑になり、事故やトラブルが起こったときの責任の所在が曖昧になりやすい。

また、そのため1次下請に支払われた請負料が、6次7次の作業員に届く時には、10分の1以下になってしまうともいわれている。
こうした問題が解決される道筋が見えないまま、今も多くの作業員が現場で作業に従事している。
事故発生からまもなく5年が経とうとしている。収束へ向けての作業は今後数十年にも及ぶとされ、現場の作業員には厳しい状況が続くだろう。

また他の原子力発電所で同じことが繰り返されないように、社会や環境、そして働く人々に対して、同社には企業としての責任を果たしてほしいと切に願う。

 

関連用語:企業コンプライアンスブラック企業大賞

 

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