第1章 「疑念の壁」に負けてはいけない

著者プロフィール

吉永安智(株式会社Web staff 代表取締役)
2015年よりブラック企業資料サイト「ブラック企業を見極めろ!」の運営責任者として就任。一般から投稿されるブラック企業体験談はこれまで2000本にも及ぶ。「転職ぱんだ」の企画・運営責任者でもあり、それらの経験のもと転職に対するブラック企業の悪影響について警鐘を鳴らしている。

 

 アナタの転職を阻害する「疑念の壁」とは

前職はブラック企業だった。とても苦しめられた。
だから次はもっと「社員に優しい会社」で働きたい。
ブラック企業で苦い経験した者にとって、誰しもが切実に願うことだと思います。

「優しい会社」の「優しい」という表現は、よく使われる言葉ですが、どのような意味合いを含んでいるのでしょうか?
同じような表現で「笑顔で働ける職場」というのもありますよね。

この「優しさ」の意味は大きく2つに分かれます。
ひとつは、自身から相手に向けられる「優しさ」
もうひとつは、相手から自身へ向けられる「優しさ」
前職がブラック企業で疲弊したアナタが、無意識のうちに次の会社へ求めてしまうのは「自身へ向けられる優しさ(待遇・条件)」なのです。

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「優しい」「笑顔」「(私の)居場所」など明確な定義はなく、これらは全て感情が伴う表現であり、個人によって正解が異なります。
これら感情のカテゴリーに「疑念の壁」は属しています。

つまり疑念の壁とは、転職活動において情報の真実よりも「感情」を優先してしまう思考を意味します。

疑念・・・あることが本当かどうかを疑う心

前職で「騙された」「酷い扱いを受けた」との被害者感情を強く意識する判断基準に、転職における求人情報の「嘘」が上げられます。
その求人情報はあくまで特定の条件下であり、求人を出した会社にとっては嘘ではないかもしれません。
ですが情報の真意は関係なく、転職希望者自身が「嘘」だと感じると、「嘘=ブラック企業」との強い結びつけてしまう場合があります。

このような心理状態に陥ると、転職への選択肢は大きく狭ってしまうのです。

多かれ少なかれ、求人情報には嘘が伴うのが現実

以前、転職ぱんだではヤフーニュース・ユーザを対象としたアンケート調査を行いました。
調査テーマは「求人の募集内容は本当(事実)だと思うか?」です。

Q1 世の中に出ている正社員の求人情報(給与、仕事内容など)が事実と比べて、「正直に書かれている」「正直に書かれていない」どちらのイメージがありますか?

【全体回答】302人
①正直に書かれている…3.3%
②正直に書かれていない…89.1%
③どちらとも言えない…7.6%

Q2 Q1で「正直に書かれていない」と答えた方に質問です。
一番信用できないと思う情報は何ですか?

[A]応募条件(年齢、未経験者歓迎など)………………………21.2%
[B]勤務時間(実働○時間)………………………………………23.2%
[C]給与(昇給含む)………………………………………………20.5%
[D]休日・休暇(年間休日○○以上)…………………………… 6.6%
[E]福利厚生………………………………………………………… 2.0%
[F]勤務地…………………………………………………………… 0.7%
[G]仕事内容 ……………………………………………………… 7.6%
[H]会社の魅力(インタビュー風の記事など) …………………… 4.3%
[ I ]掲載されている写真・画像(社内、社員の集合写真など) … 1.3%
[J]その他…………………………………………………………… 2.0%
Q1では「正直に書かれている」「どちらとも言えない」
を選んだ…………………………………………………………10.6%

調査結果の参考URL:転職ぱんだより(http://j-job.info/press150304/)

調査の結果、求人情報が「正直に書かれている」と答えたのは全体の3.3%でした。
「嘘を含んだ求人情報」というのは、アンケートに答えた側による様々な意味合いを含めているので、一概に全てを「嘘」とのくくりで考えるのは危険ですが、少なくとも求職と雇用のそれぞれの立場からは「情報の真意に行き違いが生じる」ことは間違いないと考えます。

前職がブラック企業の経験者であれば、これらの現実を目にしたときどう思うでしょうか。
求人情報に書かれている内容が少しでも違っていれば、真っ先に「また騙されるのではないか?」との警戒心を持つでしょう。

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嘘かもしれない求人情報の真意をアナタはどのように解決しますか?

①面接時に担当者へ質問する。
②履歴書を出す前に電話で問い合わせをする。
③次の求人を探す

③は論外ですが、①②も疑問や懸念が生じた場合、結果的に転職の選択肢を狭めていることには変わりありません。

ではどうすれば良いのでしょう?

第1章では「疑念の壁」に翻弄されず転職活動を行う考え方と行動について解説したいと思います。
少しでも身に覚えがある方には、ぜひ一読をおススメします。

 

1-1 「転職先を1人で決めるのはリスクが高い」へ

 

目 次 

 序章 前職がブラック企業の経験者は、なぜ転職に失敗するのか?
1章 「疑念の壁」に負けてはいけない
・1-1 転職先を1人で決めるのはリスクが高い
・1-2 「感情」が先走るのは仕方ないが転職には失敗する
・1-3 いまのアナタは「比較」ができない
2章 転職活動は半年かかるかもしれない
・2-1 知人から紹介された転職先は基本的に断ろう
・2-2 アナタは「嘘」をつく。そして転職に失敗する
・2-3 パワハラ・セクラハが理由の退職後の転職は時間をかけるべし
3章 「部外者の壁」の脅威がアナタを襲う
・3-1 前職を辞めた理由で「求人の条件が違った」とは言ってはいけない
・3-2 辞めた理由が人間関係だと、その後の転職活動は困難だと覚悟すべし
・3-3 「ブラック企業だとみんな言ってる」は禁句でしかない。
4章 最悪を遠ざけろ
・4-1 辞めてから次の仕事を探すと転職は希望から2ランク下の条件となる
・4-2 家族・友人は味方だけど転職の相談をしてはいけない
・4-3 インターネットで会社の噂を調べたら転職活動できなくなる
・4-4 公開されている求人情報は転職の判断材料にはならない
・4-5 被害者意識のまま転職先を探すと最悪の結果が待っている

皆さんの転職活動への後押しとなれば幸いです。

 

 

 

 

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