ノー残業Day

残業をせず定時で退社することになっている日。残業が常態化しやすいため、定時退社を促す取り組みとして、わざわざ「残業をしない日」を定めている企業が増えている。

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「そもそも残業を前提にしている時点でおかしい」という指摘がある

ノー残業Dayのメリットとデメリット

日本企業の悪しき伝統の1つに「長時間労働」がある。残業をすることが美徳であるかのような風潮があり、仕事が終わっているのに自分だけ定時で帰りづらい雰囲気がある。上司から「先輩より早く帰るな」と注意されたという事例もある。

残業をすれば残業代が発生するから、企業の本音は残業をなくしたいはずだ。ところが就業時間内でこなしきれない仕事量があれば、残業をせざるを得ない。その巻き添えで、仕事が終わっている社員まで残る羽目になり、人件費を増加させているわけだ。

だからノー残業Dayを設けることで、会社側には経費節減の効果が期待できる。たとえ週に1日でも全社員が一斉に定時退社する日をつくれば、節約できる人件費は決して小さくないはず。

また社員は「定時までに仕事を終わらせよう」と意識することで、いかに効率よく業務をこなすかを考える。そこから仕事の仕方を工夫し、改善するというメリットが生まれるのである。

ところが実際には、そう理想通りに進まないことが多い。ふだんより短い時間で仕事を終わらせようと思ったら、「今日やらなくていいことを明日へまわす」ということが起こる。つまり翌日の仕事が増えてその分が残業になり、トータルすると月の残業時間がさほど変わらないという現象が起こり得る。

そこまで極端なケースではなくても、ノー残業Dayのしわ寄せが翌日にまわって来るという不満は、ほとんどの企業で発生しているようだ。

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今日はノー残業Dayだから残業代は付きません?

長時間労働を緩和するために導入したノー残業Dayが、すっかり形骸化している例が少なくない。
「明日はノー残業Dayだから、今日は頑張って残業します」
「ノー残業Dayは課のみんなと飲み会です。早く帰って休みたいのに……」
「今日はノー残業Dayだから早朝出勤します」
「ノー残業Dayは17時に照明が落ちるので、みんな暗い中で仕事しています」
などなど、本末転倒のお手本みたいな現象がいたるところで起こっているようだ。ある企業では「ノー残業Dayに残業しても残業代が付かない」という「ノー“残業代” Day」と勘違いされている例もあるという。

また、全社で同じ日にノー残業Dayを設定することに疑問を感じるという声もある。取引先の都合によっては、どうしても定時を過ぎてから対応せざるを得ない場合もある。

だからノー残業Dayは自分で設定させてほしいというのだ。あるいは「残業しないで定時に退社するのが本来の姿。なのに、残業を前提にした取り組みに疑問を禁じ得ない」という意見もある。

残業が当たり前という意識から正さないと、根本的な解決にならないというのだ。

せっかくノー残業Dayを取り入れても、早い段階で形骸化してしまう事例が多い。目的を見失い、取り組みのための取り組みになっては本末転倒だ。自社の業務形態や社風などを慎重に吟味して、どのような形で実施するのがベストな方法なのかをよく考えるべきだろう。

 

平藤清刀



 

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