洗脳

他人の思想や主義を根本から変えさせるために、拷問・薬物などによる物理的な暴力や罪の意識を植え付けるための精神的な圧迫を加える技術またはその行為。マインドコントロールと混同されやすい。

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ブラック企業では洗脳が行われているのか?

●混同されがちな「洗脳」と「マインとコントロール」

「ブラック企業では、洗脳が行われている」という噂を、よく聞いたり読んだりする。社員研修の名目で、通勤ラッシュの時間帯に駅前に立って大声で歌わされたとか、見ず知らずの他人の家をいきなり訪問して便所掃除をさせてもらえとか、とにかく教官役の先輩社員から無茶なミッションを次々に強要される。

いったい何のためにそんなことを? という疑問に対して、会社はちゃんと答えを用意している。
「できないと思えることでも、自分のカラを打ち破って死ぬ気で取り組んだらできるんだということを体験させ、自信を付けてもらうためだ」

つまり、とうてい達成できそうにないノルマを与えられても、死ぬ気で頑張ったら達成できるのだ、やればできるじゃないかとハッパをかけているのだ。

はじめは躊躇(ためら)っていた社員たちも、やがて慣れてくると羞恥心も薄れ、無茶なミッションができるようになってくる。そして最後のミッションを達成した暁には、「自分のカラを破ったような気がします」と涙を流して感動すらしているのだ。傍(はた)から見れば会社の思うツボにはまっているだけなのだが、本人はすっかり自分の意志でやり遂げたと思っている。

それを指して「洗脳」だと、よく非難される。だが、正しくは洗脳ではなく「マインドコントロール」、日本語でいう「心理操作」なのだ。

そもそも「洗脳」とは何なのか。いつ、どこから生まれた言葉なのだろうか。それは朝鮮戦争(1950年6月25日~1953年7月27日―休戦―)までさかのぼる。

韓国を支援していたアメリカ軍の将兵が敵の捕虜になったとき、共産主義を信じることを迫られ、様々な教化プログラムを施された。長時間にわたる拘禁、尋問、拷問、薬物投与、自己批判などが繰り返し行われて個人の自由意思を破壊された捕虜たちは、共産主義こそが正義だと思い込まされて行く。

そのシステムを中国共産党が「洗腦」と呼び、「brainwashing」と英訳された。その英語を日本語化する際に「洗脳」と直訳されたのである。したがって日本語で「心理操作」を意味する「Mind control」とは、似て非なるものだ。

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●ブラック企業的マインドコントロールの手口

マインドコントロールを施す際には、洗脳ほど暴力的な方法は用いられない。偏った情報を与え続けて、特定の組織や個人に都合の良い価値観を持つように誘導するだけである。そういう意味では、程度の差こそあれ、人は何らかのマインドコントロールを受けていることになるわけで、やみくもに「マインドコントロール=悪」と決めつけるのは正しくない。ブラック企業のマインドコントロールが「悪」とされるのは、会社に都合のいい社員をつくって違法な労働条件で働かせているからである。

ブラック企業が社員にマインドコントロールを施す手法では、飴と鞭が巧みに使い分けられている。
最初の段階、すなわち採用面接のときに社長自ら夢と理想を熱く語る。言葉はあくまで優しく、ブラック企業の片鱗(へんりん)も見せない。

入社すると、夢と理想を熱く語ったあの優しい社長は豹変し、人が変わったように厳しくなる。「新人は先輩より30分早く出社しろ」「始業前と終業後は便所掃除」など、理不尽な義務を課して、徹底的に締めあげる場合もある。

そうして新人たちの自我を徹底的に破壊し自信と判断力を喪失させてから、あるミッションを与える。

それが新人たちにとって、ようやく仕事を与えられた喜びに感じてしまう。しかし実際には終電ギリギリまで残業しても時間が足りず、休日出勤や徹夜をしてやっとこなせる激務なのだが、そんなことを顧みる余裕はなくなっている。

新人たちが心身ともに擦り切れて行く頃合を見計らって、上司が「慰労会」とか「激励会」と称して飲み会を開いたり、成績の良かった社員を社長が表彰したりする頃には、マインドコントロールは最終段階に入っている。

まるで絵に描いたような「飴と鞭」には気付かず、「出来の悪い自分に優しくしてもらって申し訳ない」という気持ちになって、ますます会社の思うツボにはまって行くのである。

「自分はそう簡単に騙されないよ」と思っているかもしれない。だが、そういう人ほどマインドコントロールにかかりやすいといわれている。

このような手口を知っておくだけでも、なるべく早い段階で「おかしい」と気づくことができるはずだ。「自分だけは大丈夫」という、根拠のない自信が最も危険なのだ。

 

平藤清刀



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