新語・流行語大賞
『世相を軽妙に映し、多くの人々の話題に上った新語・流行語を選び、その「ことば」に関わった人物、団体を顕彰する』とされている賞。2003年にユーキャンと提携し、翌年から「ユーキャン新語・流行語大賞」に改称された。
トップテン入りは社会的な影響が大きい証拠
●世相を反映する指標に成長した新語・流行語大賞
新語・流行語大賞を、もう少し詳しく説明しよう。
創設されたのは1984年。自由国民社が刊行する「現代用語の基礎知識」の読者アンケートによって、その年の候補となる言葉がノミネートされる。その中から、「現代用語の基礎知識」の編集長をはじめジャーナリストら7人で構成される新語・流行語大賞選考委員会によって、大賞とトップテンが選出される。選ばれた言葉はいずれも、その年に起こった出来事をひと言で表現しているといっても過言ではなく、「今年の漢字」(日本漢字能力検定協会)、「サラリーマン川柳」(第一生命)「創作四字熟語」(住友生命)、「現代学生百人一首」(東洋大学)と並んで、今や世相を表す指標の1つとなっている。
ただし「ポア」「サティアン」(1995年)、生活保護を揶揄する「ナマポ」(2012年)のように、犯罪行為を容認しかねない言葉や差別的な言葉は、読者アンケートの上位にあっても候補から除外される。
また2014年には安倍政権が掲げる政策に関連の深い「集団的自衛権」と、お笑い芸人のギャグである「ダメよ~ダメダメ」がアンケートの上位にあったが、つなげると「集団的自衛権はダメよ~ダメダメ」と、政治的意図を持った言葉になってしまうという理由で、これらは2つとも除外されている。
●2013年にトップテン入りした、ブラック企業対策は?
2013年のユーキャン新語・流行語大賞に選ばれたのは「今でしょ!」、「じぇじぇじぇ」、「倍返し」、「お・も・て・な・し 」の4つだった。原則として大賞に選ばれる言葉は1つとされているが、この年は異例の多さだ。たしかに、どれか1つに絞るのが難しい言葉が並んでいる。
そして大賞にこそ選ばれなかったものの、トップテンの中に「ブラック企業」が入っていた。この年は、ほかにも「PM2.5」「ヘイトスピーチ」という言葉も見られる。
そんな世相を反映してか、「うちは36協定を締結して、ちゃんと手当を払って残業してもらっているのに、ブラック呼ばわりされてはかなわない」と、厚生労働省の審査を受けて「非ブラック宣言」をする会社が増えているという。このようにお上から「お墨付き」をもらっておけば、学生や転職先を探しているビジネスマンが安心して応募できるので、優秀な人材を確保しやすいというわけだ。この「非ブラック宣言企業」をした会社は、厚生労働省が取り組んでいる「若者応援宣言事業」の一環として、各都道府県労働局のホームページで公開されている。
厚生労働省では2015年春から、ハローワークを通して採用する大卒・院卒生ら向けの求人票に、過去3年間の採用者数と離職者数を記入する欄を設けた。記入する・しないは企業側の任意だが、空欄だと「公表できないほど離職率が高いのか?」「それは労働条件が過酷だから?」など、疑いの目で見られかねない。もっとも正しい数字を記入してくれるとも限らないのだが、ブラック企業があたかも非ブラックであるかのような「なりすまし」を抑止する効果が、少しは期待できそうだ。
平藤清刀
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