労働組合

労働者が主体となって、賃上げや勤務時間などの労働条件の維持改善や、労働環境の向上を目的とする団体、またはその連合団体のこと。

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労働組合の有無で、ブラック企業と決めつけてよいのだろうか?

●労働組合とは、具体的に何をする団体なのか?

某有名電器メーカーのグループ会社に勤めていた男性は、毎日深夜まで残業をしていた。サービス残業ではなかったものの、長時間労働が毎日つづき、社員の間では会社のことを「不夜城」と呼んでいた。それほど劣悪な労働環境だったにもかかわらず、労働組合は、職場環境の改善を求めて行動を起こすことはなかったという。
この場合、労働組合には何ができるのだろうか?

労働組合は労働組合法のもと、労働三権(※1)を行使することができる。
男性に代わって、団体として会社側に交渉を申し込むことができ、労働組合法第7条2項の規定により、会社は原則としてこれを拒むことはできない。

例えば交渉ののち、労働者が納得の行く改善が見られなかった場合に、労働組合はストライキを起こすことができる。
長時間労働だけでなく、会社から不当な解雇通知や転勤命令を受けたり、サービス残業、セクハラ、パワハラ、いじめなどのトラブルがあったりしたときに、個人に代わって会社と対等な立場で交渉するのが労働組合である。
このように、労働者の権利や暮らしを守ってくれる労働組合は心強い味方だ。

(※1)「労働三権」とは
・団結権…労働組合を作る権利。
・団体交渉権…労働組合の代表者が使用者と交渉する権利。
・団体行動権…主張を通す目的で、ストライキその他の実力を用いて使用者に圧力をかける行動を起こす権利
労働三権は、憲法第28条で保障された労働者の権利である。

●労働組合がある会社に入れば絶対安心とは限らない

労働組合がある会社では労働条件が整っている可能性が高く、また手頃な掛け金で充実した内容の共済を利用できるメリットがある。

しかし、本来ならば会社と交渉し、労働条件の維持改善を目的に活動するのが労働組合なのだが、冒頭の男性の例のように職場の環境が改善されない例もある。

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なぜなら、労働組合は労働者が自ら進んで活動しなければ正常に機能しないからだ。中には経営者の言いなりになっているような名ばかりの労働組合もあるので、注意が必要だろう。

ただ、労働組合の組織率は年々低下しつづけていて、厚生労働省によると中小企業ではわずか1%程度でしかない。
特に外資系の会社の多くは労働組合がない。海外では固定給ではなく能力給であることやリストラは当たり前という、日本とは労働に対する考え方が根本から異なるからだ。

組織率が低下しているとはいえ、労働者にとって労働組合は非常に大切な存在だ。これから入社しようとしている会社に労働組合がなくても、個人単位でユニオン(合同労働組合)に加入することができる。憲法や労働組合法に基づく組合員としての権利を行使できるので近年ではユニオンに相談する人が増えている。

このように労働組合がなくても、従業員の気持ちや考えを尊重して対応してくれる会社がある一方で、労働組合があっても機能していない会社もある。よって、その有無だけで、ブラック企業かどうかは決められない。

これから就職または転職を考えているのならば、残業代はきちんと支払われるのか、昇給の基準はどこにあるのかなど、気になることを面接の段階で確認しておくといいだろう。

会社にやましいことがなければ、明確な答えを得られるはずである。

 

CLin



 

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