キャリアアップ

「career」に「up」をドッキングさせたカタカナ語。専門的な知識、能力、地位、職位について、より高いレベルを求めること。特定のスキルを追求する「深める型」とスキルのバリエーションを広げる「広げる型」に大別される。

夢を抱いたキャリアアップのはずが……

●キャリアアップ退職は現実逃避の言い訳か

この春、新卒で採用された新入社員が、上司のデスクに退職届を持ってきた。
5月から6月にかけて、こんな新入社員が大量に発生する。上司が一応、形式的に理由を尋ねると「ここにいても自分は成長できないことに気づきました。キャリアアップを目指して転職します」という。
「まだ半人前にもならないくせに、キャリアアップだ?」と苦笑いしか出ない上司。入社式から2~3カ月経ったころに、多くの会社で繰り広げられる光景だ。

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人材を育てようという意欲のある会社は、社員の能力向上を目的とした研修会やセミナーを積極的に導入している。就業時間外に行う強制参加のセミナーには、残業手当まで支払う熱の入れようだ。もちろん、研修を今日受けて、明日から効果が出るはずもない。勉強したことを踏まえて、一歩ずつ経験とスキルを積み重ねて行くのがキャリアである。

ところが最近の若い社員には、すぐに結果を求める傾向が強いといわれている。そもそも入社後の数年は上司や先輩から教わったり怒られたりしながら仕事を憶える時代で、誰からも一人前とは認めてもらえない。

それが入社後たった数カ月で「こんなはずじゃなかった」と思い詰めたあげく、いきなり退職届という暴挙に出る。「キャリアアップを目指す」というが、本音は違う。たんに現状が不満だから、とりあえず逃げ出したいだけなのだ。

●「幹部候補」「店長候補」に隠されたワナ

リクルートワークス研究所が行った調査によると、日本のいわゆる若手と呼ばれる社会人が挙げる退職理由のトップは「労働条件や勤務地への不満」で、2位が「仕事内容への不満」となっており、「賃金への不満」は意外にもトップ5にも入っていない。
「仕事をする上で大切だと思うもの」という問いに対しても、トップ2が「良好な職場の人間関係」と「自分の希望する仕事内容」で、「高い賃金」の順位は低いという。

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つまり金銭的には満足と言えないまでも不足しているわけではなく、「自分にはもっと他の可能性があるはずだ」という想いが垣間見える。

退職届を持ってくる若手は、そのずっと以前から次の行く先を探して求人サイトや求人誌を読んでいる。
「自分にはもっと可能性がある」という想いが強いだけに、あるワナにはまりやすい心理状態になっている。それは求人広告にひときわ大きな文字で踊る、「幹部候補」「店長候補」などの文言だ。すべての求人広告がそうではないが、ブラック企業の可能性が高いといわれている。

日本人はなぜか、店長、部長、課長など「長」の肩書に弱いようだ。広告に「○○長候補」とか「○○長待遇」という文言が踊っていると、一気に出世できるのではないかと幻想を抱いてしまうのだ。

その肩書はブラック企業が目の前にぶら下げる「飴」にほかならず、入社してから名刺に「店長」の肩書でも付けてもらおうものなら、それだけで偉くなったように錯覚してしまうのだ。その多くがいわゆる「名ばかり管理職」で、長時間働かせて残業代を払わない口実に利用されていることは、すでに誰もが知るところである。

キャリアアップの夢を抱いて転職した会社がブラック企業で、ボロボロになるまで使いつぶされて、人生の夢まで打ち砕かれては本末転倒。本当にキャリアアップを目指したいなら1つの会社で一人前と認められるまで頑張って、その後に真にあなたを欲してくれる会社へ移るのが本筋ではないだろうか。

 

平藤清刀



 

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