ホワイト企業
劣悪な労働環境を強いる「ブラック企業」と対極にあることから生まれた言葉。社員を大切にし、心身ともに健康的なビジネスライフを送るための職場環境を整えている企業のことをいう。
ブラック企業とは天地の差、それがホワイト企業である
●働く人のことを考え、法律を守る
これから就職、転職をしようとしているみなさんに質問。
毎月何時間までなら残業してもいいと思うか?
やむを得ないときはサービス残業をしてもいいと思うか?
有給休暇はどれくらい消化できればいいと思うか?
もしかすると「終電まで残業したら、仕事をしたという満足感が得られそう」「上司にサービス残業をしてくれって言われたら断れないだろう」「有給休暇ってあってないようなものなのでは……」なんて思う人もいるかもしれない。
事実、会社勤めしていると多くの人がそのようになってしまいかねない。しかしそれらはすべて法律違反であることを理解してほしい。
ホワイト企業では原則として「残業をしない」としていることが多い。やむなく残業をすることになったとしても「月20時間まで」と決められている会社もある。
36協定では最長「月45時間まで」残業が可能であると定められているので、ずいぶんと短く感じられるかもしれない。しかし労働基準法では「1日8時間」「週40時間」と労働時間が定められている。本来ならば、残業しないのが当然なのである。
残業時間だけでなく、ホワイト企業ではなによりサービス残業に厳しく、残業した分は必ず勤務表に記載するようにと指導される。
また、東洋経済から発刊された「CSR(企業の社会的責任)企業総覧」によれば、ホワイト企業の有給休暇の取得率は80~100%と高く、社員の健康やプライベートが配慮されているのが見て取れる。ワークライフバランスが重視され、無理をさせられることがないのがホワイト企業の特徴の1つである。
ブラック企業では、労働に対する評価基準が明確でないために、つい「長時間働くこと」イコール「やる気がある」と評価されがち。しかし長時間働いたからといって、仕事の成果につながっているかというと、そうではないことが多い。むしろ心身ともに疲れやすくなり、仕事に対するモチベーションを保ちにくくなってしまうだろう。
仕事をした時間の長さではなく、時間内でどれだけ効率的に仕事をこなせるかを評価するのがホワイト企業である。ただし、一方的に評価するのではなく、スキルアップのための資格取得の支援を積極的に行うなど、研修や教育システムが整っているところがホワイト企業のホワイトたる所以(ゆえん)なのである。
●女性も働きやすい職場環境づくり
結婚し、出産した女性が職場復帰しやすい制度を整えている会社は、日本企業全体から見ればまだ少ない。
そんな中でもホワイト企業では産休や育児休暇を取得しやすかったり、育児期間中は時短勤務ができるなどの制度が充実していたりと、ママになった女性の働き方に配慮されている。さらに大きな特徴として、他の社員がそのしわ寄せを受けることがないシステムづくりがなされているので、安心して仕事と家庭を両立させられるのである。
また、結婚・出産したからという理由だけで、希望しない部署に強制的に異動させられることもないだろう。
そういった体制を取ることで、マタハラ、セクハラ、パワハラが起こりにくい職場づくりに努めているのである。
さらには、フレックス勤務や在宅勤務など、社員それぞれのライフスタイルに合った多様で柔軟な働き方も実現させている企業がある。
しかしながら、ホワイト企業かどうかは個人の価値観や考え方によってその判断基準は異なってくるだろう。
入社する前に、会社の勤務体制の確認やその業界について調べるなどして、目指すキャリアを達成するためにどうすれば良いのかを考えながら、自分に合ったホワイト企業を探すことが大切なのではないだろうか。
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