ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)

「男性」「女性」という生物的な性差ではなく、「男らしく」「女らしく」のように、社会通念上の固定概念による性差を根拠に「~らしくあれ」と圧力を加える行為。
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「~らしく」という曖昧な概念を強要される苦痛

ジェンダー(gender)とは、男らしさ・女らしさといった社会通念的な性差を表し、生物的な性(SEX)とは別の概念で使われる。ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)とセクハラはよく同一視されがちだが、似て非なるものである。

「男なんだから、もっと気合入れろ!」とか「女のくせに生意気だ」とか、誰しも一度は言われたこともあれば言ったこともあるはずだ。「男だから」「女だから」というのは、よく考えてみると根拠の曖昧な理由である。社会通念的に「男(女)はこうあるべき」と思い込まれているにすぎないのだ。

職場で起こりがちにジェンハラをざっと挙げてみると、

・女子社員だけにお茶汲みや雑用をやらせる。
・体力を使う仕事を男子社員だけにやらせる。
・男子社員だけに残業をやらせる。
・年齢、婚姻、出産経験などで、「女の子」「奥さん」「おかあさん」など呼び方を変える。
・若い女子社員を呼ぶときに「ちゃん」をつけ、そうでない女子社員を「さん」付けで呼ぶ。
・女子社員を指して「女の子」と呼ぶ。

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このように考えると、ブラック企業で起こるセクハラの多くは、じつはジェンハラではないだろうか。

また、いわゆるホワイト企業とされる健全な会社でも、男女雇用機会均等法が制定される前までは、給与に男女差があるのは普通だった。同じ仕事をしているのに、女子社員の給与はなぜか男子社員より低く設定されていた時代があったのだ。今そんな給与体系を設定すれば、たちまちジェンハラで問題になるだろう。

ジェンハラが厄介なのは、前述したように「社会通念上の性差」が背景にあるハラスメントなので、加害者側に罪の意識がなく、被害者側にも被害を受けたという意識がほとんどないことが多い。さらに言えば「我慢していれば、男の人より仕事がラク」とか「力仕事は男の仕事」と言わんばかりに、ジェンハラをさながら文化の如く受け入れている風潮はないだろうか。

 

 

平藤清刀




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