労働環境

職場における照明、温度、湿度、気流、粉塵、騒音、におい、広さ、動線、施設や道具類の使いやすさなど、あらゆる物理的・科学的な環境諸条件を指す。また、広い意味では人間関係を含めることもある。

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近年では労働環境を構成する条件に”人間関係”が加わった

●労働環境を構成する条件とは

今、多くのWEBサイトで、ブラック企業の劣悪な労働環境を糾弾する書き込みが見られる。

・労働時間がきわめて長く、終電で帰宅する毎日。
・サービス残業は当たり前で、休日でも容赦なく呼び出される。
・業務とは関係のないセミナーや研修会に強制的に参加させられる。
・こんな労働環境は1日も早く改善されなければいけない。

など、過酷な条件で働かされている事実が、赤裸々に語られている。
だが、労働時間が長いとかサービス残業を強要されるというのは、いずれも待遇の問題であって労働環境とは意味が異なる。

労働環境の本来の意味は用語解説に示した通りで、たとえば照明は明るすぎないか、または暗すぎないか、換気不足で空気は淀んでいないか、不快な振動や騒音に晒されていないかなど、一言で言えば職場という「空間」の状態を指す。

会社には快適な労働環境をつくる責任があるのだが、何をもって快適と感じるかは人それぞれに異なるため数値化しにくい。さまざまな細かい条件が微妙に絡み合って「環境」というものを作り出しているからだ。その代表的な条件を挙げてみると、3つに大別できる。

〔気候的な条件〕
温度、湿度、気流、気圧、壁・窓・機械類から発生する熱など

〔物理的な条件〕
照明、採光、色彩、振動、超音波、騒音、塵埃(じんあい)、赤外線、紫外線、有害放射線など

〔化学的な条件〕
液体・個体由来の物質、蒸気、ガス、におい、有害物質など

これらの条件は人間の五感でとらえやすいので、もし不快に感じたらわりあい簡単に改善できるはず。ところが有害因子の中には、五感でとらえにくいうえに、いつの間にか体が慣れてしまい、存在していることすら気づかないものもある。たとえばアスベストによる健康被害は、現場で働いているときには気づかないで、数十年の潜伏期間を経て中皮腫などを発症する厄介な事例である。

そうなると当時の労働環境に原因があったのか、他の要因があったのかという判別が難しく、被害の回復が遅れてしまう。

また近年では、人間関係も労働環境を構成する条件の1つであるという考え方もあって、労働環境に関する問題はますます複雑になっている。

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●人間関係が醸し出す無言のプレッシャー

人間関係も労働環境を構成する条件であることを示す典型的な例が、おそらく日本の職場だけにある独特の雰囲気だろう。

定時までに自分の仕事が終わったのだから、誰に遠慮することなく退社すればいい。でも周りの同僚たちは、まだ片付かない仕事を続けているとき、「お先に失礼します」と言い出しにくい。

「先に帰るの?」という無言のプレッシャーに負けて、やることが無いのに、誰かが帰るまでダラダラと会社に居残った経験をした人は多いのではないだろうか。

それが本来払わなくて済むはずの残業代を発生させ、会社の経営を圧迫し、その分を回復しようとしてノルマがきつくなるという負のスパイラルに陥っていないか。もっとも残業代が出るなら、まだマシかもしれないが――。

非ブラックと言われる会社でも未だにこのようなことが行われているとすれば、ブラック企業はさらに悪質だろう。

「有給休暇を取りにくい雰囲気がある」「社内にピリピリしたムードが漂っている」「社内恋愛の禁止」「産休が認められない。妊娠したら退職するよう遠回しに迫られる」など、目には見えないが「空気で感じる」ものが絡み合って劣悪な環境を作っている。

過度に競争を煽ってピリピリした人間関係を作るのは、社員が団結して会社に刃向わないようにするためだといわれている。また、女性社員の妊娠が分かったら、あらゆるマタハラを仕掛けて自分から辞めて行くように追い込むのだ。

労働環境の良し悪しは、入ってみなければ分からない要素が多い。もし劣悪な環境で働かされているのに後難を恐れて辞めづらい事情があるなら、自治体の労働局とか労働基準監督署のような、労働問題を扱う機関に相談してみよう。

 

平藤清刀



 

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