ペナルティ

ミスに対して懲罰的に課する罰則・処罰。口頭注意だけで済む軽易なものから、違約金の支払いや免職、果ては刑事罰の対象になる重大なものまで様々ある。

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会社は社員に対して懲戒権を有するが、過度なペナルティは違法となる

●「罰金」は刑事罰なので会社が社員に課することは違法

労働問題を扱うWEBサイトで「遅刻をして罰金を取られたが、違法ではないのか?」という相談をよく見かける。
たとえば「欠勤1回または3回遅刻したら、次の給料から10%を差し引く」とか「書類の記入漏れまたはパソコンの誤植1字につき罰金100円」というペナルティを課されたという例がある。これは、結論から言うと違法である。その根拠となるのが、労働基準法第16条だ。

≪労働基準法第16条≫
使用者は労働契約の不履行について、違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

そもそも「罰金」とは刑法で定められている刑事罰の1つであって、民間企業の立場では行使できない。また、あらかじめ「○○をしたら○○円を徴収する」というルールを設定することが「損害賠償額を予定する契約」として、法律で禁止されているのだ。

ただし、賃金は労働の対価であるという考え方から、遅刻又は欠勤した時間分の賃金を減らすことまでは禁止されていない。その場合でも、あらかじめ就業規則に明記してあること、法令に反しない範囲であること、社会通念上の妥当性が認められることが条件となる。

会社には懲戒権の行使が認められているので、故意または過失により会社に損害を生じさせた社員にペナルティを課すことができる。いわゆる「懲戒処分」がそれで、最も軽い処分は「訓戒」といって、平たく言うと「上司から怒られる」というもの。

「それなら、自分はいつも怒られてるけど、それも懲戒処分なの?」と思うかもしれないが、それはまた別の話。仕事の些細なミスを叱責されるのとは違って、懲戒処分は記録に残るから、その会社に永く居れば昇給や昇進に影響する。

最も重い処分が「懲戒免職」で、会社を辞めさせられる処分である。その日から職を失い、退職金も失業保険も受けられない。その上、再就職の際には著しく不利になる。

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●コンプライアンス違反でペナルティを課される事例が増えている

ペナルティの対象になる事例で最近増えつつあるのが、社員のコンプライアンス違反だといわれている。会社の規則に違反したというのならまだ内々に庇(かば)いようがあるけれども、自家用車や営業車で飲酒運転をやったり居酒屋で一般女性や店員にセクハラ行為をやったりしてしまうと、これはれっきとした犯罪行為である。

とくに飲酒運転は悲惨な死亡事故が多発して、ますます厳罰化に向かう傾向にある。都会では通勤に電車やバスなど公共の交通機関を利用するが、地方によっては自家用車での通勤がむしろ当たり前ということもある。

前の晩に深酒しすぎて、ほろ酔い気分で運転しているところを検問に引っかかる。ひと昔前なら、地元の警察も「しょうがないなぁ、気を付けてね」と黙認していた例もあるというが、今は社会的にそういうことが許されなくなっている。

当然に会社としてもそれなりの対応を迫られるので、「事故を起こす・起こさないにかかわらず、飲酒運転が発覚しだい懲戒免職」という厳しい態度で臨むことが多くなった。

今後予想される「ペナルティの対象」としては、すでにアメリカの企業で導入されている「肥満」「高血圧」「高血糖」だろうか。アメリカの多くの企業では、このうちのどれか1つでも該当する社員は昇進させないという。

「健康管理は本人の問題だよ」と言いたいところだが、これらは生活習慣病の原因になる。ということは、医療費がかさんで健康保険の財源を圧迫する。結果として社会全体に迷惑をかけることになるので、自分の健康管理もできない社員には何らかのペナルティを課すのが妥当だという理屈である。

アメリカで起こったことは、数年遅れて日本でも起こるといわれている。ただ、日本とアメリカでは保険制度が異なるので、直ちにそのままの形で導入されるとは考えにくい。だが、わざと曲解したブラック企業が「君は当社で定める標準体重を超えているから、1kgにつき給料から○○円差し引く」という具合に悪用されかねない懸念はあるだろう。

 

平藤清刀




 

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