精神論

物質的に不利な状況を、人間の精神力で克服できるとする考え方。「みんなで頑張れば必ずできる」「願いは通じる」など、何ら事実関係やデータに基づかない思考法のこと。類似語に「根性論」がある。

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非科学的であることは百も承知しているのに日本人はこれが大好き

●精神論が結果に結びついたように見えるのは、そうなる条件に気づいていないだけ

スポーツの国際試合で、有望な選手が期待されたほどの活躍ができなかったとき「固くなりすぎました」とか「会場の雰囲気に呑まれました」と自己分析している場面をよく見る。

それを伝えるメディアも、「プレッシャーに負けた」とか「国際試合の経験が浅い」などと、さんざんプレッシャーをかけたことを棚に上げて選手を批難する。

たしかに精神的な要素が物質的な要素を上回る事例が、全く無いわけではない。人はそのことを経験則で学んでいるから、なかなか理屈だけで割り切ることができず、「今は苦しいが、もっと頑張れば希望が見えてくる」とか「今が踏ん張りどき」と精神論を吐いてしまうのだ。

精神論を真っ向から否定するわけではないが、組織や人が窮地に立たされたときは、必ず原因や理由が存在する。「なぜ、このような状況になっているのか」という分析を怠って、本気で「頑張ればなんとかなる」と信じているならば、まったく愚かなことだ。頑張った末に事態が好転しても、それは「頑張ったから」ではなく「事態を好転させる条件」が揃ったからだ。そのことに気づかないで「頑張ったから乗り切れた」と信じているうちは、精神論からいつまでも抜け出せない。

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●精神論が否定されるのは「再現性」がないから

前は頑張って挽回できたのに、今度はどんなに頑張っても挽回できないということは、往々にしてあることだ。それは、前に窮地に陥った時に立ち直ることができた原因や理由をしっかり分析していないから。頑張るだけでなんとかなるものなら、今頃は日本中の会社が大繁盛しているはずだ。そうなっていないのは何故か? 精神論には再現性がないからである。

なぜ上手くいったかを検証できていないただの精神論は、後世に引き継ぐことができない。だから精神論が幅を利かせている会社では、ノウハウの蓄積がない。社員に無茶を強いることで、なんとか会社の体裁を保っているだけなのだ。

蓄積されているノウハウを敢えて挙げるとすれば、社員を生かさず殺さず酷使する方法しかない。いわゆるブラック企業が、そのような精神論で社員を追い立てて、とにかく「売り上げ、売り上げ」とノルマを強いるのだ。

とりわけ、次に挙げるような精神論を社員に強いるようになると、ブラック企業の烙印(らくいん)を押されるといわれている。

・過剰な労働を正当化する
例/「(午後)8時9時なんて、まだ昼間だよ。俺が若い頃は、日付が変わるまでがむしゃらに働いたもんだ」
⇒思考が高度成長期で止まっている。

・初めから破綻(はたん)している「たとえ話」
例/「商談中に意識をなくして救急車で運ばれたら、やっと一人前だ」
⇒雇用主には社員の健康管理に配慮する義務がある。それに目の前で倒れたら、相手にも迷惑。

・仕事の内容と合ってない
例/「頭で考えるな。体で感じろ」
⇒伝説のアクション俳優ブルース・リーが主演した映画「燃えよドラゴン」の中で「Don’t think. Feel.」というセリフがある。意訳すると「考えるな、感じろ」という意味。

技能系の職種ならそのような要素があることも分からなくはないが、営業や事務職でこのセリフを言われても理解に苦しむ。

もっとも精神論がすべて否定されるわけではなく、最後は人間の精神力に委ねられる要素は確かにある。

ただし、正しいデータに基づいた仮説や緻密に組み立てられた計画の裏付けがあってこその精神論でなければならない。つまり精神論は「主」ではなく「従」の要素なのである。

 

平藤清刀



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