派遣切り

派遣先の企業と人材派遣会社との間で締結された労働者派遣契約が期間の満了前に解除されることにより、派遣労働者が解雇または契約の更新を拒否されて職を失うこと。いずれの場合も、派遣労働者の事情は考慮されない。

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改正「労働者派遣法」が派遣切りに拍車をかける?

●派遣・請負・出向、どう違う?

自分が雇われている会社ではない「出先の会社」で業務を行うイメージから、派遣・請負・出向の違いをよく理解しておらず、「同じようなものじゃないの?」と思っていないだろうか。そんな労働者の無知に付け込んで請負や出向を偽装した「違法派遣」を行う悪質な会社があるので、派遣労働者として働いている人は、いまいちど自分の身分を確認しておいた方が良さそうだ。

「派遣」とは――
労働者の雇用主は派遣会社である。だが使用者は派遣先の企業で、派遣労働者に対して指揮命令権を持つ。通常なら雇用主が指揮命令権を持つが、派遣会社はその権限を派遣先に委ねるという形になっている。そして給与は、派遣会社から支払われ、一定の条件を満たせば社会保険にも加入できる。ただし派遣会社との雇用契約は、「一般労働者派遣」の場合、派遣先で就労している期間のみ有効である。

「請負」とは――
請負主が仕事のスタートからゴールまでを引き受けて、自社のスタッフを指揮して業務を行う。だから「出先の会社で業務する」というイメージからは離れる。
発注元と請負主との間に主従関係はなく、請負主から見た発注元はあくまでクライアントである。だからクライアントは、請負先のスタッフに直接指示を出すことはできない。

「出向」とは――
自分が雇用されている会社(出向元)との雇用関係を維持したまま、出向先の業務を行う。だから出向元と出向先、両方の就業規則に縛られる。もし出向先でトラブルを起こしたら、出向先の規則で処分を受けるし、場合によっては出向元の規則でも処分を受けることがある。体のいい左遷に利用される場合もあり、出向先で定年を迎えることも珍しくない。

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●3年制限撤廃の改正「労働者派遣法」でブラック企業が横行する懸念

これまでは26の専門業務を除き、派遣期間は「最長3年」と定められていた。つまり3年を超えて引き続き働いてもらうには、正社員として雇用しなければならなかった。これは同じ人が身分の不安定な派遣労働者のまま、1つの事業所に固定されないための措置だった。

2015年7月現在、国会で審議されている労働者派遣法の改正案が通れば、この派遣期間の制限が撤廃されることになっている。これは何を意味するかというと、派遣を受け入れる会社はずっと派遣社員のまま使い続けることができるわけで、裏を返せば「いつでもクビにできる」というわけだ。

会社の業績が悪化してきて人員整理が必要になったら、自社の社員を整理しなくても、派遣会社との契約を解除すれば良いというわけだ。そして派遣会社は「派遣先との契約を解除した」ことを理由に、派遣労働者を解雇する。いわゆる「派遣切り」である。

じつは2008年のリーマンショックからすでに、突然の「派遣切り」が急増しているという。

改正労働者派遣法が成立して派遣切りが合法的に行えるようになると、ブラック企業は自社で正社員を雇わなくても、派遣労働者を「クビ切り放題、使い捨て放題」にできるようになることが懸念されている。

もし会社から突然「派遣契約を終了させる」とか「契約の更新はしない」と言われたら、それは派遣切りに遭ったということ。会社の言いなりになってはいけない。

弁護士に相談して、雇止めを無効にできる場合がある。あるいは雇止めが避けられなくても、転職のための準備期間を獲得して「明日から無職」という最悪の事態を防ぐ望みはあるのであきらめないこと。

 

平藤清刀




 

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