みなし残業/定額残業代

一定時間分の時間外労働に対する残業代があらかじめ給与や手当に含まれた状態で毎月支払われることをいう。「定額残業代/固定残業代」とも呼ばれ、この制度のことを固定残業制度という。

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「みなし残業/定額残業代」とは何か?

●みなし残業/定額残業代のしくみ

時間外労働(残業)をすると、基本給以外に会社から残業した分の割増賃金が支払われる。みなし残業とは、その一定時間分を会社側が前もって見込んでおき、その分の残業代が毎月定額で支払われることである。

例えば基本給20万円に、みなし残業が40時間分で5万円と定められた場合、支払われる給与は25万円となる。40時間分の残業をしてもしなくても、毎月固定で残業代が支払われるしくみである。

この制度は主にエンジニアやデザイナーなどの専門職、事務所外労働である営業職といった実際の労働時間が把握しづらい職種に対して用いられることが多い。他の職種でも、労働基準法に定められた内容を満たしていれば、みなし残業が適用されることに問題はない。その時間と賃金は、各社ごとに規定が設けられている。

「みなし残業」について法律で定められていないので、労働者の利益が考慮される。そのために、導入する企業は以下のような条件を満たすことが望ましいとされる。

・みなし残業に相当する賃金が、他の賃金と明確に区分されていること
・何時間分のみなし残業に相当するのかが定められていること
・実際の残業時間がみなし残業分を超えた場合には、その差額が支払われること
・就業規則または賃金規定に明記されていること
・雇用契約書または給与辞令などに明記されていること
・給与明細と賃金台帳に明記されていること

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●みなし残業のメリットとデメリット

みなし残業を導入する企業の多くは、毎月支払う給与の中に残業代を組み込んでしまいたい考えがあるだろう。しかし、この制度を導入したからといって会社側にとって必ずしもメリットばかりがあるとは言えない。
では会社や労働者にとって、それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのだろうか?

◇メリット

<会社側>
・みなし残業として定められた時間内の残業であれば、面倒な残業代を計算しなくていい
・決められた時間を超えた残業であっても、残業代の単価が安くなる

<労働者側>
・残業時間が少なくても毎月決まった額の残業代がもらえる
・時間内にノルマをこなせた人よりも、仕事の遅い人が残業をして残業代を多くもらうという不公平を防ぐことができる

◇デメリット

<会社側>
・労働者の残業時間が、会社が定めたみなし残業時間より少なくても、一定の残業代を支払わなければいけない
・みなし残業時間より多く残業となった場合、増えた分の残業代を別途支払わなければいけない

<労働者側>
・みなし残業代は割増賃金対象外なので、深夜残業や休日出勤したとしても、定められた時間内であれば、その分の割増残業は支払われない

みなし残業代は、活用の仕方ひとつで会社にとっても労働者にとってもメリットのある制度である。ただし、労働者が注意すべき点は2つ。

(1) みなし残業時間を超えた分の残業代が支払われているか
(2) 労働基準法が定める最低賃金を下回っていないか

上記2点が満たされていない、さらにみなし残業代の金額が大きく設定されている会社では残業時間が異常なほど多いことがあり、ブラック企業の可能性もあるので、しっかりと見極める必要があるだろう。

 

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