離職率

ある一定期間にその職場を離れた社員の数を比率として表した指標。通常3年間の離職率で表すが法的な規定はなく、1カ月、1年で算出される場合もある。この値が高ければ、労働者が定着しにくい職場ということになる。

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「離職率が高い=ブラック企業」というわけではない

●数字のトリックに騙されるな

面接の席で、離職率を尋ねる学生が増えた。

その最大の理由として、ブラック度を推し量ろうとしているのではないかといわれている。離職率を知ることによって、その会社で働いている人たちの満足度が推察できる。離職率が高いということは、職場に満足していない。すなわちブラック度が高いのではないかということを、自分なりに分析しようとしているのだろう。

その離職率の算出方法は各社で異なるが、多くの会社で使われているのは次のような計算式だ。

起算日(*)から3年間の離職者数÷起算日における在籍者数×100
*年度初めを「起算日」とする会社が多い

起算日から3年間とあるが、これは法律で決まっているわけではない。会社によっては1年だったり、短いところでは1カ月だったりする。そのため、ある種のトリックに利用されることもあるから、離職率を見るときは注意が必要だ。

求人票や求人広告に「離職率0%」と書いてあったら、さぞかし居心地の良い会社だと思わないだろうか。

じつはこれがトリックで、1カ月の離職率を書いてあるかもしれないのだ。極端な話、新入社員が1年間で全員辞めてしまっても、はじめの1カ月に誰も辞めていなかったら、離職率は0%と書いてもウソをついたことにならない。

ここまで極端でなくても対象が新卒だけなのか、あるいは中途採用者も含むのか、数字を見ただけでは分からない。

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●離職率だけを見てブラック判定するな

厚生労働省が2013年に発表した「業種別に見る若者離職率」というデータがある。
若者というのは大学新卒者のことで、離職率が高い業種と低い業種とを比べると、ある傾向が見えてくるという。

◇若者離職率が低い業種
・電気・ガスなどのライフライン産業8.8%
・鉱業・採石業など13.6%
・製造業17.6%

◇若者離職率が高い業種
・宿泊・飲食サービス51.0%
・教育・学習支援48.9%
・生活関連・娯楽45.4%              (数字は2013年のもの)

何が見えてくるかというと、一見すると体力的にも精神的にも大変そうな業種で、離職率が低い。じつは技術や技能を要する業種なので、現場へ出る前の研修プログラムがしっかりしていることが多い。

一方で、離職率の高い業種は、新人研修といえば接客マナーや電話応対のロールプレイングぐらいで、早々に現場へ投入されて売り上げやノルマに追いまくられる。それだけにストレスが多く、早期の離職に繋がっているといわれる。

また、若い人が会社を辞めたいと思う理由の多くが「きつい」「思っていた仕事ではなかった」というもの。ベテランの社会人から見れば、いずれも「大した理由じゃない」ということになるが、本人たちにとっては「大した理由」なのだろう。

情報があふれる社会の中で、「自分にはもっと違う可能性があるはず」「今ならまだ、軌道修正できる」と思うから、簡単に辞めてしまう。

入ってみたらブラック企業だったというのなら理解されやすいだろうが、新入社員の甘えや我儘(わがまま)で離職率を上げられてブラック企業呼ばわりされる会社からすれば、いい迷惑に違いない。

 

平藤清刀




 

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