不安障害
精神疾患の1つで、主な症状に不安や恐怖を呈する疾患の総称。パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)がよく知られている。
強烈なトラウマのほか体の病気や物質によるものなど原因はいろいろ
●ストレスの多い日常でいつのまにか発症している例も
パニック障害や社会不安障害など、症状に不安や恐怖を伴う精神疾患を総称して「不安障害」と呼ばれている。
心の病とされているが、その原因には過労、睡眠不足、過度のストレスなどの身体的な要因もあって、本人が気づかないうちに発症していたというケースもある。また女性は一般的に神経質な不安を持ちやすいといわれており、男性の2~3倍以上も多く発症するという。
不安障害の特徴は、ある特定の人と会う前や人前で何かやろうとしたときに、不安や恐怖を感じて体に様々な症状を引き起こす。
よく知られている症状には動悸、めまい、呼吸困難などがあるが、症状によっては「シャイな人」とか「心配性」と誤解されやすい「赤面」や「漠然とした不安」などもあって、他人にはなかなか理解されにくい。
◆不安障害の主な症状
・急な不安
・得体のしれない不安を感じる
・胃痛、過敏性腸症候群など胃腸の症状
・人と会うと赤面する、顔がこわばる
・強迫観念
・めまい、浮遊感
・外出できない、歩けない
・呼吸困難
・倒れそうな不安
・声が出なくなる
・吐きそうになる
・何も起こっていないのに「……になったらどうしよう」という漠然とした不安
症状が出ると、たいていの場合は数分間で治まるが、ときには長時間に及ぶこともある。そのことがまた不安材料になって、家から一歩も出られなくなったり、重症の場合だと寝たきりになったりする人もいる。
●ブラック企業での過酷な体験がトラウマになる
不安障害は、じつは精神疾患の中で最も多いといわれていながら、未だに原因が完全には解明されていない。冒頭で触れたように、体と心の要因が深く関わっていることは確かなようだ。また不安障害が多発する家系というのもあって、その場合は遺伝的な要素もあるといわれている。
ブラック企業で日々過酷な労働を強いられている人が不安障害を発症したような場合は、過度のストレスに対する反応が適切に行えなくなって、体がギブアップしてしまった状態に陥っている。現に心的外傷後ストレス障害(PTSD)やパニック障害に苦しんでいる人の中には、ブラック企業で働いた経験のある人が少なくないという。
出勤しようとすると動悸やめまいに襲われる、暑くもないのに大量の汗をかく、心拍数の増加、得体の知れない恐怖感などの症状は、無意識のうちに体が反応して「会社へ行くな」と警告を発しているのだ。
症状の軽い初期のうちに医師の診断を受け、適切に治療すれば回復も早い。しかしこの段階で会社を休んだり、療養のために休職したりする人は極めて少ない。体の変調に気づいていながらも、まだ心のどこかで「自分は大丈夫」「気のせいだ」と思いたいのだろう。
1998年から「精神障害」が労働災害として認められるようになった。
厚生労働省が定める条件をクリアしなければならないが、今では精神障害に対する偏見や無理解はずいぶん少なくなっている。
休職してゆっくり回復を待つという選択肢を取ることは、ひと昔前と比べたらハードルが低くなっているはずだ。
会社に潰される前に、自分の健康は自分で守ろう。
平藤清刀
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