ブラック企業大賞

長時間過密労働、セクラハ、パワハラ、いじめなど、雇用上、数々の問題を抱えた企業を表彰するイベント。2012年、ブラック企業大賞企画委員会によって設立され、年に一度、表彰式が行われている。企画委員会はルポライター、弁護士、映画監督、ジャーナリストなど、各業界から集まった約10名のメンバーによって構成されている。

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安心して働ける環境作りを目指して
全企業を対象に、企画委員会と一般投票によって選考

2000年頃から、その言葉が広く知られるようになった「ブラック企業」。毎年数々の企業がメディアを賑わせているが、「ブラック企業大賞」では、日本企業を対象に企画委員会が約10社をノミネートし、さらに選考によって大賞、業界賞、特別賞など各賞の表彰を行っている。

当委員会における「ブラック企業」の定義は以下の通り。

[1]労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いている企業。

[2]パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人(学校法人、社会福祉法人、官公庁や公営企業、医療機関なども含む)。

ちなみに、ノミネート後の各賞の選考には、インターネットによる一般投票も受け付けており、市民の声を反映した「WEB投票賞」も設けられている。

こうした不名誉な賞を受賞することは、企業側にとって社会的に大きなイメージダウンになるが、企画委員会の目的は、こうした事例を取り上げることによって、ブラック企業を生み出した社会的背景を明らかにすることにある。社会構造の問題を広く世間へ発信することで問題の根本的解決を促し、安心して働ける環境づくりを目指しているのである。

2014年の受賞企業は?

2014年9月6日(土)に開催された「ブラック企業大賞2014」の授賞式では、株式会社ヤマダ電機が大賞を受賞した。

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受賞の大きな理由は、2007年9月に従業員Aさん(男性・23歳)が過労によって自殺したことにある。

ヤマダ電機は、2007年8月、契約社員である入社3年目のAさんに、新規オープンする店舗のオーディオ売り場の「フロア長」を任命。Aさんは正社員経験もないまま、急に管理職として扱われ、任命以降、出勤時間のみ打刻し、退勤時間を打刻しないまま働かされていた。自殺するまでの約1ヵ月間、少なくとも106時間21分残業をしており、特に亡くなる前の1週間は47時間30分もの時間外労働をさせられている。

2011年6月、Aさんの自殺は労災認定され、2013年12月に遺族側がヤマダ電機を相手取って損害賠償などを求めて提訴しているが、ヤマダ電機側は事実誤認に基づくとして訴えを全面否認している。

ヤマダ電機に関する事例はこれに留まらず、上司による罵倒や営業不振に苦しみ、自殺へと追い込まれた社員の報道もあり、約3万3000人(2013年時点)の社員雇用において、これがほんの一部とは言い難い。

授賞式での、ブラック企業大賞企画委員の水島宏明(ジャーナリスト・法政大学教授)のコメントによると、ヤマダ電機はWeb投票でも最多の票数を集めたとのこと。度重なる過労自殺に対する反省が見られない点などを総合的に評価し大賞に選んだと述べている。

その他の賞に関しては、

・業界賞
【アニメ業界】株式会社 A-1 Pictures
【エステ業界】株式会社 不二ビューティ(たかの友梨ビューティクリニック)

・特別賞 : 東京都議会

・要努力賞 : 株式会社ゼンショーホールディングス(すき家)

ちなみに、毎回受賞企業には企画委員会から表彰式の招待状が送られるものの、過去3回の式典に参加した企業はゼロ。表彰式で授与されるはずの賞状、及びトロフィー、労働法の書籍は、企画委員会スタッフが代理で受賞しているという。

受賞企業が自社の体制を改め、この式典の場で反省の意を社会に訴えかけてこそ、企画委員会の本来の目的が一つ果たせたと言えるだろう。

 

竹田亮子




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