オワハラ

就職活動中の学生や転職先を探す求職者に対して企業が早めに内定を出し、その条件として他社の面接を受けさせないような拘束をかけること。「就職活動終われハラスメント」を略して「オワハラ」という。

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2016年度から急増しそうな新しい概念のハラスメント

●あの手この手で就活生を囲い込む

2015年卒の大学生の就職活動は、3年生の12月1日に採用広報活動が解禁され、4年生の4月1日に選考開始。5月中旬頃には大手企業の採用活動がひとまず終わって、そのあと中小企業の採用活動に移るというパターンで、大手と中小の採用時期が重ならないように棲み分けができていた。

ところが、このパターンだと、なかなか内定をもらえない学生の中には、4年生のほとんどを就職活動に充てざるを得ず、学業に専念できない状況が以前から指摘されていた。

そこで2016年からは広報活動の解禁が3年生の3月1日、選考開始が4年生の8月1日からになった。これは過熱する就職活動について行けない学生が少なくないことを憂慮した政府が、日本経済団体連合会(経団連)に要請して「採用選考に関する指針」が公表されたことによる。ただし法的な拘束力のない事実上の自主規制だから、実際の採用開始時期は各企業に委ねられている。

選考開始が4カ月後ろ倒しになったということは、大手と中小の棲み分けがなくなったことを意味する。それにより大手と中小で、優秀な学生を取り合うという弊害が生まれてしまったのだ。

そのシワ寄せをまともに受けるのが、政府の要請で救済されたはずの学生というのも皮肉な話である。

大手企業は経団連に加入しているため、経団連のルールに縛られる。ところが中小企業の多くは経団連に加入していないため、ルールには縛られない。即ち、その気になれば、大手より先に選考活動を始められるわけだ。

就職を希望する学生は、大手を志望する傾向がある。しかし必ず内定がもらえる保証はないから、就職浪人を避けるために「滑り止め」が必要だ。だから中小の入社試験を先に受けるのだが、ここで優秀な学生に出会った中小企業は、なんとしても手放したくない。でも学生は、できれば大手に就職したい。

そこで始まるのが、企業と学生の心理戦である。

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●就職活動は我が社で終わりだよね?

中小企業のほうだって、黙って滑り止めの立場に甘んじるつもりはない。優秀な人材が欲しいのは、大手だろうと中小だろうと同じなのだ。

もし中小の内定を蹴って、大手から内定をもらえなかったら、学生にはもう後がない。そんな心理を逆手にとって、中小の面接官は学生にこう切り出す。

「もし他社からも内定をもらっているなら、そこを断ったらこの場で内定を決める」

ここまではっきり言わなくても、それを示唆するような話が出る。あるいは「就職活動は、ウチで終わりだよね」と、暗に「他社の面接は受けるな」と迫るようなことを言われることもあるという。

これが新たに出てきたハラスメント「就職活動終われハラスメント」、略して「オワハラ」として、2016年から急増するだろうと懸念されている。

すでに明らかになっているオワハラの手口を、ざっと列挙してみよう。

・面接の回数を増やして、他社の面接に行けないようにする。
・採用担当者が食事に誘い、恩を売って内定を断りにくくする。
・内定を断ると態度を豹変させ、脅迫まがいのことを言う。
・内定と引き換えに、他社の面接は受けないという誓約書を書かせる。
・「内定を辞退したら法的な問題になる」と脅迫する。
・大手や中小他社の面接日と重なる日程でワークショップを企画する。内定者は強制参加。

基本的に「内定の辞退は自由にできる」ということを憶えておこう。また内定をもらっていても、就職活動は続けて良いのだ。

誓約書にも法的な拘束力はなく、内定をもらった中から自分が行きたいところを選ぶことに何ら問題はない。

これからは手口がもっと巧妙化してくると思われるが、オワハラ対策で肝心なことは「自分の意思をハッキリさせること」だ。自分がやりたいことは何なのか、オワハラに遭いそうになったら、原点に立ち返って考え直してみよう。そして、ひとりで対応できなくなる前に、大学の就職担当者やハローワークなどへ相談すること。

 

平藤清刀




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