企業イメージの偽装

一般大衆(public)が抱く、企業に対して持つ見方や印象。広告や商品の他さまざまな要因が複雑に絡み合って形成され、一般に商品イメージやブランドイメージより上位の概念とされている。

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イメージは思い通りに作れる

●「良いイメージ」とは

イメージというものは漠然とした概念で、はっきりした形を持っていないだけに、捉えどころがない。

ある人が「あの会社にはクリーンなイメージがある」と言っても、そもそも「クリーン」ってなんだろう? 「なにが」「どこが」「なぜ」クリーンなのだ? 具体的にポイントを絞って追究されても困る。「クリーンだからクリーンなのだ」としか答えられないだろう。

イメージとはそのように曖昧な概念ではあるけれども、誰もが確かに心の中に持っているものである。就職を希望する会社に対しては、そのイメージはより具体的になるけれども、希望や憧れの感情が入るのでそうとう美化されるはずだ。

企業イメージを形成する要素には、広告・商品・文化への貢献度・接客態度などのほか、そこで働きたいと思っていたら給与や休日など社員への待遇も含まれる。なるべくたくさんの人に良いイメージを持ってもらうということは、そのまま売り上げのアップにも繋がるから、企業イメージをアップさせるための努力はきわめて重要だ。

では、一般大衆は、企業イメージを形成する情報をどこから得ているのか。

日本法規情報(株)が2015年1月に行った「企業イメージ・アンケート調査」によると、「どのような企業に良い印象を持つか」という質問に対して、最も多かったのが「挨拶がきちんとされている」で、以下「上下関係なく仲が良さそう」「雑談を含め、会話量が多い雰囲気」「プライベートに干渉しない」「残業が少ない」と続く。

もうお気付きだろうが、どれもブラック企業とは正反対である。

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●ブラック企業ほどイメージを偽装する

会社の実態が「良いイメージ」からほど遠いことは、ブラック企業の経営者は百も承知している。だから社員を募集するために、ことさら「良いイメージ」を強調するのである。言い換えれば求人票や求人広告に踊っているキャッチコピーや文言を見れば、その会社がブラックかどうかを、あるていどまで見極めることができるというわけだ。

・「明るい雰囲気」を強調する
実態はその真逆。体育会的なノリで精神論が幅を利かせ、理不尽な叱責、暴力が日常的に行われている。

・中年の上司と部下(とくに若いOL)が談笑する写真
いわゆるホワイト企業と言われる会社でも、中年の上司と若いOLが笑顔で語り合うという場面は珍しい。若い人は若い人どうしで固まるものなので、世代間の仲の良さをことさら印象づけようする意図が見える。

・「頑張りしだいで月○○万円可能」「実力第一主義」
一見すると自分の力を存分に発揮できそうだが、終電間際までのサービス残業、休日を全部潰して営業まわりをして、やっと“もらえるかもしれない”という金額を書いているだけ。可能性はゼロではないが、ほぼゼロに近いと思って間違いない。

・「明るい未来」「自己実現」「夢にはばたけ」というキャッチコピー
言葉そのものはポジティブだが、では「何が?」と問われると明確に答えの出ない曖昧な表現だ。実態はほど遠く、「暗黒の明日」「自己崩壊」「夢を奪われる」という現実が待っている。

・パソコンオペレーター募集
いかにもIT系のクリエイティブな仕事をイメージするかもしれないが、実際の仕事はスパムメールの送信だったり、出会い系サイトのサクラ役だったりする。

・幹部候補生/店長候補を常に募集している
常識的に考えて、管理職のポストがそう次から次へと発生するわけがない。これは接客業に多い募集広告で、残業代を払わずに済む「名ばかり管理職」を募集しているのだ。仕事の実態は、やはり新人は新人並みでしかない。

これらのワードに一致するからと言って、その会社のことを直ちにブラックとは決めつけることはできないが、ブラック企業の求人広告によく見られるという現実は押さえておこう。言葉の表面的な華やかさに惑わされないように注意してほしい。

 

平藤清刀




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