社畜
まるで家畜や奴隷のように会社に飼いならされている会社員のことを揶揄(やゆ)していう語。会社のためならサービス残業も厭(いと)わない会社員のことをいう時、皮肉を込めて使われることが多い。
「社畜化」すると人生が蝕まれる!?
●社畜は日本社会の雇用システムによって作り上げられた悲しき“種族”である
朝、息も詰まるほどの満員電車に乗って出勤し、深夜、息を殺して静まり返った住宅地内を通って帰宅する。毎日の残業は当たり前となり、働きに見合わない給料をもらってSNSで不満をつぶやくだけ。有給休暇どころか、頻繁に休日出勤をさせられ、まともに休むことすらできない。
そんな社会人生活を送っていないだろうか?
もし、このような生活を送ってなお「仕事なんだから当然だ」「働く側に選択肢なんてない」と思っているのであれば、あなたはすでに社畜となっているかもしれない。
そもそも社畜はどのようにして生まれたのだろうか?
「社畜」という言葉は、1992年に発刊された作家・安土敏氏の著書「ニッポン・サラリーマン 幸福への処方箋」(日本実業出版社)で初出したとされている。
バブル時代では、安易な離職や転職を防ぐために、また永く勤めても労働者が安心できるようにと導入された終身雇用や年功序列型賃金といった日本特有の雇用制度により、会社が社員の一生を保証してきた。
将来の生活まで見通しがついた会社員は住宅ローンを組み、家族を養うことができる。その見返りとして、会社のために精一杯働く。これが「社畜」の始まりだった。
やがてバブルがはじけ、企業の経営難により前出の雇用制度は崩壊した。年配の社員は早期退職を求められ、会社にとって生産性の低い社員はリストラされるようになった。だが、なぜか社畜という概念だけが変わらず残ってしまった。
●社畜にひそむ危険性
今年6月、世界的な総合人材サービス会社ランスタッドが行った最新の労働者意識調査の結果によると、「休日でも仕事のことを考えてしまう」と答えた日本の労働者は44%に達し、世界トップとなった。それだけに、仕事熱心な人が多いとも取れるだろう。しかし同時に、会社から離れられない社畜が多く存在する国であることも証明されたと言えるのではないだろうか。
このように会社のことばかりを考えてしまう社畜にはいくつかの危険性が孕んでいる。
[1]給料よりも「やりがい」や「成長」を重視するために、行きすぎた努力を苦痛に感じない
「やりがいがあって成長できる」という言葉だけで仕事に満足する。支給される給料以上の働きを見せても報われないことがあり、勤めている会社がブラック企業だった場合、会社から使い捨てにされる危険性がある。
[2]働く人の権利を守る労働基準法をよく知らず、「残業は当然」だと思い込んでいる
「会社は家族同然」などと言ってサービス残業を当たり前のように行う。会社にとっては非常に都合がいい。厄介なのは、偏屈な考え方を持った人の場合、自分だけでなく周りの人にまで同じ価値観を押し付けようとする危険性がある。
[3]自己が確立できず、他人の意見に同調しやすく、上司の理不尽な命令にもホイホイと従ってしまう
サービス残業など法律に違反するようなことを強要されても安易に従ってしまう。仕事のストレスを発散できず、最悪の場合、心身ともに崩壊する危険性がある。
社畜となってしまうのは、働く人にとって非常に危険な状態であることを認識してほしい。仕事を頑張るのはいいことだが、自らの信念や健康を失ってしまっては元も子もない。
以下「社畜度」の診断ができるサイトを2つ紹介しよう。自分が社畜であるかどうかを客観的に見ることができれば、ワーキングスタイルを見直すきっかけになるかもしれない。
・脱社畜ブログによる社畜度診断 sshindan.dennou-kurage.com
・新刊JPによる社畜度診断 www.sinkan.jp/special/syachiku/shindan.html
(※上記2サイトへのアクセスは自己責任となります。また診断結果はあくまで参考程度としてください。)
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