退職勧奨(退職勧告)

退職勧奨(退職勧告)とは、使用者が労働者に対し、「辞めてほしい」などといって退職を勧めること。俗にいう「肩たたき」も退職勧奨にあたる。これは解雇予告とは異なり、退職勧奨に応じるか否かは労働者の自由となっている。

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◆現実的には実行が難しい「解雇」 代わりに横行する「退職勧奨」

・退職勧奨の行為自体は違法ではない

厚生労働省労働基準局が発行する『やさしい労務管理の手引き』によると、「退職」とは労働者からの申し出によって労働契約を終了すること、「解雇」とは使用者から一方的に労働契約を終了することとされている。

解雇は労働者に重大な影響を及ぼすことから、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められない限り、労働者を解雇することはできない。

解雇が妥当かどうかの判断は裁判所で行われることとなる。つまり、解雇はなかなか認められないため、会社側には労働者が自己都合退職するよう仕向けたいという思惑が働きやすく、結果、退職勧奨が行われることとなる。

辞めるかどうかは労働者側が判断すれば良く、退職勧奨の行為自体は違法ではない。しかし、繰り返し、執拗(しつよう)に、半強制的な言動で行われたり、退職の勧めを拒否した者に対して不利益な措置をとったりした場合、違法な権利侵害にあたるとされることがある。

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・退職を促す上司の言動が違法性判定の決め手に

2011年10月31日、東京地裁で「違法」と判決が下った事例がある。日本航空の女性客室乗務員の雇止めに関する裁判である。

判決によると、女性は2008年5月、一年契約の契約社員として日本航空に入社。2010年3月、3年目の契約更新をしないとする通告を受けた。裁判所は、同社が契約更新しない旨を女性に通告する以前、上司が「いつまでしがみつくつもりなのか」「辞めていただくのが筋」と告げ、自主退職を促していた点について違法性を認定し、慰謝料20万円の支払を会社側に命じた。

なお、女性は業務上のミスや遅刻などを「極めて多数回繰り返していた」ため、雇止めについては「不合理なものは認められない」として、女性の「雇止めは無効」との訴えを退けている。

一方、2011年12月28日、同じ東京地裁で「違法ではない」と判決が下った事例がある。

日本アイ・ビー・エムの希望退職募集に関する裁判である。

これは、2008年10月から12月にかけ、会社の業績不振を背景として、業績の低い従業員を対象に実施された。

退職勧奨に応じた際には、通常の退職金に加えて特別加算金(最大15カ月)を支払い、再就職支援サービスも提供するという比較的手厚い処遇が用意されていた。

この退職勧奨を受けた従業員は、「違法な退職強要である」として損害賠償を求めたが、違法性が認められなかった。

判決は、従業員が退職勧奨に消極的な意思を示したとしても直ちに説得活動を止める必要はない、退職勧奨を通じて従業員が不快感や苛(いら)立ちなどの感情を持ったとしても、それが直ちに違法ではない、との主旨だった。

なお、本件は2012年10月31日、東京高裁でも適法と判定され、さらに最高裁へ上告中であるという。

・労働者の権利を守りながら、円満に雇用関係を終了させるには

退職勧奨は密室において、口頭のやりとりで行われることが多い。

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労働者側は、どのような言動がとられたか、録音や、やりとりを詳細に記録するなど、違法行為と思われる事実があれば立証できるようにしておくことが必要となる。

一方、最近ではリストラに伴う退職勧奨を指導、アドバイスする会社も存在する。マニュアルを整備し、人格を否定する言動を面談でしないよう研修を施すなど企業側も対応を進めている。

本来、退職勧奨で社員を説得する行為そのものは問題のないこと。それに伴う行為が、精神的、肉体的ダメージを与えていないか、そこがポイントとなる。労使間でじっくり話し合い、円満に雇用関係を終了できるよう双方の努力が不可欠だ。



 

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