セカンド・ハラスメント(セカハラ)

セクシャル・ハラスメントに遭った被害者が、その事実を会社側に訴えたことが原因で、かえって会社側から二次的な被害を受けること。組織の隠蔽(いんぺい)体質や世間体を気にする態度が原因とされる。

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さながら被害者に「とどめ」を刺すに等しい行為

●勇気をふりしぼって相談したのに……

セクハラが社会問題になってから、もうずいぶん久しい。各企業ではセクハラ対策に取り組んで、社会全体でも問題意識が盛り上がっていることになっている。

その結果、セクハラは減ったのか? 見えなくなっているだけではないのか? と疑いたくなるような、新たな問題が現れはじめた。

セカンド・ハラスメント(セカハラ)という聞き慣れないハラスメントがそれである。

セクハラの被害を上司や会社の相談窓口へ訴えようと決心するには、被害者本人にそうとうな勇気がいる。心に大きな傷を負っている上に、どのような被害を受けたのかという状況を、具体的に話さなくてはならないからだ。それは本人にとって、消えてしまいたくなるくらい恥ずかしいことに違いない。

会社がしかるべき対応をとってくれたら、立ち直りも早いだろう。ところが会社によっては、対外的にセクハラがないことになっていることがある。だから被害を訴えても「あなたさえ我慢すれば、大事(おおごと)にはならない」とか「あなたにもスキがあったのでは?」と、セクハラがあるという事実を隠そうとしたり、相談を門前払いしたりすることがあるという。

やっとの思いで勇気をふりしぼって訴えたのに、これではまさに傷口に塩を擦りこむようなもの。被害者はさらに深い傷を負って、立ち直れなくなってしまう。

また、訴えを聞いてくれても、朝礼で「○○さんは◇◇さんにセクハラ行為を行ったため、本日付で免職となりました」などと、わざわざ加害者と被害者の個人名を挙げて公表される場合もあって、これもれっきとしたセカハラになる。

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●マスメディアがセカハラの加害者になった事例

2014年6月18日に行われた東京都議会の一般質問で、当時「みんなの党」所属だった塩村文夏(あやか)都議に対し、自民党の議員席から「早く結婚した方がいいんじゃないか」という野次が飛んだ。

これが「セクハラ野次」としてメディアがこぞって取り上げる騒ぎとなった。野次を疑われた自民党の鈴木章浩都議は、初めは否定していたが、5日後に自分の発言だったことを認めて塩村都議に謝罪。深々と頭を下げている写真入りで報道された。

ところが「男に頭を下げさせるとは、けしからん」といった的外れなクレームが発端となり、しだいに塩村都議の過去のテレビ出演にも関連して人格を否定するようなバッシングが始まってしまった。

都議会の様子はメディアのカメラでとらえられており、塩村都議はどう見ても野次を受けた被害者である。

メディアは報道として映像や写真を伝えただけなのだが、明らかにそれが原因となって塩村都議に二次被害が及んだという点で、セカハラの加害者になってしまったのである。

セカハラの「真の怖さ」は隠蔽や門前払いもさることながら、まったく意識していないのに、結果的に加害者になってしまうかもしれないところにもあるのだ。

 

平藤清刀



 

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