ラブハラスメント(ラブハラ)

恋愛に関する話題を振って、相手に精神的苦痛や不快な思いをさせるハラスメント。従来のセクハラまたはモラハラから派生した新語で、恋愛に関する価値観を相手に押し付ける行為。

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「恋愛に興味津々な人」「全く興味のない人」価値観はそれぞれ

●セクハラとはひと味違う新たに生まれたハラスメントの概念

「○○さんは、彼女はないの?」
「あんまり、欲しいと思ったことないです」
「それは言い訳だよ。努力してないでしょ」
「努力と言われても……」

日常ありふれた雑談の中で、よくあるやり取りに見えるが、じつはこれが「ラブ・ハラスメント」すなわち「ラブハラ」として、新たなハラスメントに加えられている。

たとえばここにA君という、世間一般でいう結婚適齢期の男性がいるとしよう。ご両親は早く結婚させたがっているが、その前にまず相手が必要だ。休みの日には趣味に没頭する息子を心配して、親戚や知人らに「良い縁談があれば…」とお願いしている。A君には、それが鬱陶(うっとう)しくてたまらない。

職場の同僚たちはというと、休憩時間の話題はもっぱら恋バナが中心で、冒頭のやり取りである。A君は照れ笑いを浮かべながら「いやぁ、まだまだ、そんな…」と適当にごまかしているが、内心は「またその話かよ、めんどくせーな」と思っている。

そこへ「いずれ結婚するつもりなんだろ? 男は家庭を持って一人前だ」などと言われたら、これはもうトドメを刺されたようなもの。

「この年で独りでいるのは、人間として欠陥品なのか」と劣等感を抱いたり、その話題を振られること自体が苦痛になったりする。
これが、典型的なラブハラの形である。

人の価値観はそれぞれで、恋愛こそ人生のすべてと思っている人もいれば、独りの時間や趣味に重きを置く人もいる。

後者の人に、恋愛がいかに素晴らしいかについて熱弁を振るっても、ただうるさがられるだけ。場合によっては人生そのものを否定された気分になって、以後はなるべく会わないように避けられるだろう。

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●「恋愛経験が乏しいこと」は人生の敗者なのか?

どのような行為がラブハラになるのか、整理してみよう。

・断っているのに、結婚やお見合いをしつこく強要する。
・性交経験がないまたは少ないことを、バカにして笑ったり罵(ののし)ったりする。
・見た目で恋愛経験が乏しいと決めつけて、皆がいる場でわざと恋愛話を振る。
・恋愛に関心が無い人と分かっていながら、恋愛の素晴らしさを語る価値観の押しつけ。

恋愛こそ人生のすべてだと思っている人から見て、恋愛経験の乏しい人は「人生の負け組」に映るかもしれない。しかし逆の立場から見れば、「恋愛にしか興味のない奴は、他に楽しみを知らないのか」と映り、少なくとも「勝ち組」とは思っていない。

つまりラブハラとは「恋愛に関する価値観のぶつかり合い」とも言える。

ただし、たんに価値観のぶつかり合いで済まないケースが2つある。

1つは、恋愛したくてもできない人は、本気で「自分は恋愛もできないダメ人間だ」と思い詰めてしまい、最悪の場合には人生を悲観して自ら命を絶ってしまったり、他人を傷つけて憂(う)さを晴らしたりする事例が皆無ではないということ。

2つめは、異性を恋愛の対象としない、いわゆる同性愛者である。本人はそのことを他人に隠していることが多いため、「彼氏がいる男性」や「彼女がいる女性」に向かって、「彼女(彼氏)はいるの?」という話題をうっかり振ってしまう。

ラブハラの加害者は往々にして罪の意識がなく、世間話の延長ぐらいの軽い気持ちで口走ってしまうことが多い。そのため自分の不注意に気付かないまま「ラブハラ加害者」のレッテルを貼られ、周りから白い目で見られる羽目になりかねないから、とくに注意が必要だ。

 

平藤清刀



 

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