ブラック名言(ワタミ社長)

居酒屋チェーン「和民」を運営するワタミ株式会社の創業者・渡邉美樹氏が、自身の経営哲学を語った言葉の中に、利益を上げるためなら違法行為も辞さないともとれる文言が少なくないとされる語録のこと。

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自ら歩んできた茨(いばら)の道を社員にも歩ませようとしているのか?

●創業者ならではの苦労は並大抵ではなかったはずだが――

居酒屋チェーン「和民」は、今やブラック企業の代名詞のようになっている。

2008年に女性従業員が自宅マンションから投身自殺し、その原因が長時間労働と過酷な深夜勤務にあったとされて、遺族から訴えられた事件が明るみになった。

それ以降「ブラック企業」の烙印を押されて客離れが止まらず、2015年4~6月期決算は、営業損益が9億円の赤字、純損益が15億円の赤字で、1998年に上場して以来最悪となった。

創業者の渡邉美樹氏は父親の影響で経営者を志し、開業資金を溜めるために佐川急便でセールスドライバーとして働き、1年間で300万円の資金をつくって渡美商事(のちのワタミ)を創業した。

文章に書くとわずか2~3行だが、実体験としては並大抵の苦労ではなかっただろう。苦労して作った自分の会社で働く社員にも、その想いの一端でも味わってほしいと思う気持ちからか、渡邉氏の発言には違法労働を督励しかねない文言がしばしばみられる。それがさらに、ブラック企業の誹(そし)りに火をつけている感がある。

渡邉氏による、いわゆる「ブラック語録」は膨大な量にのぼるため、有名な発言だけをいくつか見てみよう。

・会社に貯金する”感覚を持ち、会社に不可欠な人材となるように仕事してください。
・365日24時間、死ぬまで働け
・業界ナンバーワンになるには違法行為が許される。
・神様は不公平ではない。金持ち貧乏、頭が良い悪い、性格が良い悪い、足が長い短い、そんなことは人間の価値基準ではないのだ。そんなことを神様は何とも思っていない。
・「ブラック企業」という一人歩きの言葉でユニクロを含めた一部の企業を叩くのは、これは僕は”ペンの暴力”だと思います。

●一部だけ切り取られて独り歩きしている言葉もある

これらの語録の中で「業界ナンバーワンになるには違法行為が許される」というのは、もし本当に言ったのだとしたら、さすがに渡邉氏の神経を疑わざるを得ないが、語録の中には渡邉氏を非難する目的で一部だけが切り取られて独り歩きしている例も散見される。

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・“会社に貯金する”感覚を持ち、会社に不可欠な人材となるように仕事してください。
これを意地悪く解釈すると、まるで「会社の奴隷になれ」と言っているようだ。だが、実際には「上司に貸しをつくって、“会社に貯金する”感覚を持ち、会社に不可欠な人材となるように仕事してください」と言っているのだ。

「上司に貸しをつくって」の部分が、明らかに意図して削除されている。いろんな意味に解釈できるが、少なくとも会社の奴隷になれという意味にはならないだろう。

・365日24時間、死ぬまで働け
渡邉氏はこの言葉に続けて「別に言葉の通りにそうしろというのではない」と言い、さらに「そんな気持ちで、働いてほしいということだ」とも述べている。また、様々な葛藤の中から出てきた言葉であって、「エリアマネージャーや店長、あるいは部長が、葛藤を通じてこの言葉を語り、社員たちに寄り添ってくれているだろうか」という気持ちも一緒に述べられているという。

発言の一部が悪意をもって切り取られて、全く別の意味で広がってしまうのは、人間の心理としては仕方がない。人は自分で直接見たもの以外は、事実や真実よりも「信じたいもの」を自分の都合に合うように解釈して、あたかも正論の如(ごと)く信じてしまう。

誰にも心当たりがあるはずだ。

ワタミでは、たしかに悪いニュースが続いた。従業員が自殺した事件の他にも、介護事業で食中毒事件を起こしたり、店舗から火災を出したりという問題を起こしている。それらはワタミの自業自得で、起こした問題の責任は問われるべきだろう。

その一方で、言葉の一部を切り取ってわざと曲解してバッシングしたり、事実関係がよく分からないまま他人の尻馬に乗ったりする行為は、自分で自分の価値を下げる結果にしかならないことも、この機会に考えてみても良いのではないだろうか。

 

平藤清刀



 

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