第1回口頭弁論 ~法廷時間はまさかの15分~

第1回 口頭弁論 ~法廷時間はまさかの15分~

2019年3月7日(木)、大阪地方裁判所の第511号法廷において第1回口頭弁論が開かれた。

開廷時間は10時15分。

前日から会社に泊まり、早めに大阪地裁に行くつもりだった。

「書類とボールペンとメモ帳・・・・・あと原稿も」

準備完了。

自身の正しさを訴える用意は整った。

身支度を済ませ9時過ぎには会社を出る。

さあ気合いを入れてやるしかない。

 

そりゃそうだ。

私(吉永)は被告として裁判に立つのは未経験である。

しかも弁護士も付けてない。

そう。

今回は弁護士をつけなかったのだ

【最初に】

ここに書かれている内容は全て事実です。

「ブラック企業を見極めろ!」で取り上げた会社から訴えられました。インターネット上での情報公開は、どのようなリスクがあるのかを皆さんに知ってもらうべく、今回の裁判に至る経緯や内容を全て可能な限り公開することにしました。

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■私(吉永)・・・ブラック企業の資料サイト「ブラック企業を見極めろ!」の運営責任者。今回の訴訟を通じて弁護士不信になったため、個人の力量で裁判に挑むこととなる。

■書記官・・・開廷直前にもかかわらず、相談への対応力には感謝と頭が下がる想い。今回は裁判所の事務処理能力の高さを垣間見ることになる。

■裁判長・・・仕切り(リーダーシップ)力の高さに驚愕。「争いの場の進行役」という普段なら経験できないスキルを目の当たりにした。

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時は遡り2月中旬。

株式会社Web staffの幹部と裁判について話し合っていた。

私「今回の裁判は弁護士を付けないで進めようと考えてる」

幹部A「え?なぜ?」

私「理由は2つ。弁護士そのもの信じられないということ。もうひとつはリスクを理由に裁判の情報公開が止められてしまうこと」

幹部A「本当に良いのですか?」

私「いい。あと細かい理由も幾つかあるけど、今回は自分でやってみようと思う」

幹部B「賛成、それで良いと思う。吉永が思うことをやりきるべき」

 

日程として3月7日が裁判当日なのだが、1週間前にあたる2月28日までに被告側から答弁書を提出しなければならないらしい。

・・・答弁書ってなんだ?

ネットで調べて見たら、訴状に対する被告側からの反論のようだ。

裁判をスムーズに進めるためにも、前もって必要な作業だとも説明されていた。

私「口頭弁論の時に反論すれば良いと思うけどそれじゃダメなのか?」

そう思い会社の業務スケジュールを見た。

答弁書に割く時間がない。

私「決めた。答弁書は出さない。すべて口頭弁論で反論する」

幹部B「それで良いと思う」

幹部A「・・・・・」

こうして答弁書の提出は見送られることとなった。

 

【結論】
やっぱり答弁書は出した方が良いです。

 

答弁書をスルーしたとは言え、訴状に対して反論すべきことは多い。

反論数をカウントすると10か所近くもできそうだった。

これ全部反論した方が良いのか?

口頭弁論の説明では、訴状が読まれその後に被告側が答弁するという。

つまり訴状が全部読まれて、そのあと私が答弁するのであろう。(←実はちがう

それじゃ事前に原稿をつくればスムーズに話せるんじゃね?

ナイスアイデア!

こうして私は口頭弁論で使用する原稿を作り始めた。

既に裁判まで1週間を切っていた。

 

【結論】

自分自身で裁判に挑む場合は、裁判の進め方をネットで調べるより弁護士にレクチャーしてもらった方が良い。

後で勘違いがあることに気づかされる事が多い。

 

あ然・・・予定表に書かれていた裁判時間は15分!?

3月7日口頭弁論の当日、大阪地方裁判所に着いたのは9時30分頃だった。

法廷開始より45分前。

裁判所本館の入り口で手荷物検査を受ける。

空港で受ける荷物検査と同じ要領だった。

荷物を返してもらい、エレベーターで5Fまで上がる。

私の裁判は朝一だったことと、開廷まで40分以上前だったこともあり廊下には誰もいなかった。

早く来過ぎたことを後悔しつつ、とりあえず第511法廷の部屋を探すことに。

5Fの法廷だけで大小15部屋くらいある。

私「・・・・あ、あった」

第511号法廷の扉の前に立った。のぞき窓で中を確認できるようだ。

のぞくと法廷内は暗く誰もいない。

待つしかないか。

数歩後退して、長椅子に座ろうとした。

そのとき、扉の横に「第511号法廷、本日の予定表」の紙が張り出されていることに気づく。

 

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【張り紙】

10時15分
原告:株式会社オンテックス
被告:株式会社Web staff
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これだこれだ。確実にこの部屋で間違いない。

————–+
【張り紙】

10時30分
原告:〇〇〇〇〇
被告:〇〇〇〇〇
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・・・・・・

・・・・・・え?次の裁判予定が10時30分?

ええええええええっ!!!15分しかないじゃん!!

 

前日、私は口頭弁論で使用する原稿を声に出して練習していた。

全部読むまで、早くても20分はかかる。

練習では原稿の読み上げ途中で一息入れる事すら考えていた。

マズイ。15分って!挨拶して訴状読んだら終わりじゃねーの?

マズイ。答弁書を出さなかったからこの時間になったの?

マズイ。5分で読み切らないと原稿がムダになる!

マズイまずいマズイ不味い!!

5分で原稿を読み切るって4倍のスピードじゃないか!ラップじゃなあるまいし。

時間は9時45分。法廷開始まで30分を切っていた。

 

書記官が有能すぎる

とにかく急いで第19民事部1係の事務所を探す。

今回の裁判を取り仕切る部課である。

あった。

扉に第19民事部と書いてある。

室内では10数人の裁判関係者が忙しそうに仕事をこなしていた。

私「すみません。今日の・・・被告です」(←焦って挨拶がおかしい)

女性「はい、なんでしょう?」

私は「ちょっと裁判時間について、聞きたい事があります」

私は女性に事情を話した。

 

女性「それでは・・・口頭弁論に使う資料はありますか?」

私「資料は無いです。話すべき内容だけ原稿にまとめています」

女性「では、原稿を答弁書として提出することは可能ですか?」

私「あ・・・・はい!原稿は出せます!」

 

ここで非常に幸運だったことが2点。

1つは裁判所に早く来ていたこと。

もう1つは、原稿は読むためだけでなく、たまたま資料のようにまとめていたことだった。

 

それでも法廷時間が15分であることは変わらない。

私は恐る恐る女性に訊ねてみた。

私「裁判の時間は15分から延長は出来ないんですよね?」

女性「めったに延長することはありませんが・・・例外的に延長する場合もあります」

私「延長ありなんですか?」

女性「延長はあくまで例外です・・・・が、大丈夫ですよ。裁判長が15分でまとめてくれますから」

私「え?」

女性「大丈夫です。ところでこの答弁書は原告側にも正式に渡してもよろしいでしょうか」

私「あ、はい。大丈夫です。よろしくお願いします」

私は何度も頭を下げて事務所から退出した。

時計は法廷開始から20分前の9時55分を指していた。

 

対応してくれた親切な女性は、後に法廷での書記官であることがわかった。

こうして10時15分、第511号法廷において損害賠償請求事件の第1回口頭弁論が開かれた。

 

裁判長が有能すぎる

口頭弁論では裁判長から原告側に訴状について、追加や変更について確認していた。

裁判長「・・・・さて」

いくつか私に質問をする裁判長。

たぶん被告が裁判について知識が乏しいことを書記官から聞いていたのだろう。

非常に丁寧でわかりやすく優しい口調だった。

質問内容はすべて先ほど提出した私の口頭弁論用の原稿について。

原稿内容を証明する資料(証拠)の提出が可能かどうかだった。

私「え・・・はい、すべて資料(証拠)の提出は可能です」

驚いた。

裁判長は私が提出した答弁書を全部目を通しており、さらに必要な追加資料(証拠)の選出まで済ませていた。

答弁書を渡してから開廷まで15分あったかどうかの短時間である。

いやいやいや、答弁書(原稿)は約2500文字(原稿用紙7枚分)はあったんだぞ。

裁判長、有能すぎる。

私への質問が終った。

チラリと時計を見る。

ここまでの所要時間は開廷から10分程度。

 

裁判長は証拠説明書の提出についてわかりやすくルールを説明してくれた。

そのおかげで「証拠説明書を揃えるのに、どれほどの作業量が必要か」を算出することもできた。

証拠説明書の提出期限もスムーズに決定。

続いて私の答弁書に対する反論(?)の期限を裁判長と原告弁護士側でも調整していた。

裁判長「それでは次回(第2回)の日程を決めたいと思います」

原告、被告、裁判長の予定を調整して4月25日に決まった。

裁判長「他に何かご質問はありますか?」

私「いえ・・・何もありません」

裁判長「それでは第1回口頭弁論を終了します」

法廷内の全員が立ちあがって礼をした。

時計は10時29分。

次の原告と被告の関係者が、あわただしく入ってきた。

書記官が私に近づいてきて、証拠説明書の解説と記載例のコピーを渡してくれた。

これも事前に用意していたのだろう。

裁判側からすれば、何もかも予定通りだったというワケだ。

 

こうして私の初体験となる第1回口頭弁論が終った。

 

法廷を出ても「裁判をした」という実感が沸かなかった。

緊張する時間すら無かったような気がする。

幹部A「お疲れさまでした」

私「ああ、ありがとうございます」

幹部Aによれば、傍聴席から見る私はとてもリラックスしていたという。

結果的にそう見えたのであれば良しとしよう。

 

「裁判の経過をブログやSNSに書くと不利になる?」ホントかどうか書記官に聞いてみた

実は裁判が始まる5分前に書記官に訊ねていた。

私「裁判と直接関係ないことなのですが、質問してもいいですか?」

書記官「なんでしょう?」

私「裁判の経過をブログやSNSに書くと不利になるとアドバイスをされたのですがホントでしょうか?」

書記官「あー・・・それについては」

書記官「裁判所からは、その点について何とも言えません」

私「何も言えないとは?」

書記官「様々な要因が考えられますので裁判所から『不利になる』『ならない』とは言えないんです」

私「書く内容も様々ですからね・・・なるほど」

 

私が理解した範囲での結論だが「不利にならない」と言わなかった以上、裁判の経過をSNSやブログで書くことは何らかのリスクが生じると考えた方が良いと思った。

では、ここでの報告は不利になる可能性があるのでは・・・(汗

 

第2回口頭弁論は4月25日に行われます。

注意されない限り、また報告するかも。

 

これが裁判の始まりだった

プレスリリース:ブラック企業資料サイト「ブラック企業を見極めろ!」の掲載企業による訴訟:第1回口頭弁論が開廷される

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