大東建託株式会社

損害の穴埋め強要
パワハラによる過労自殺と認定されるも、会社は意に介さず

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「360万円払わなければクビ」

「いい部屋ネット 大東建託♪」。有名タレントを起用したテレビCMで広く知られる大東建託は賃貸集合住宅の建築から販売、管理まで手がける賃貸不動産最大手の会社だ。

「ノルマがきつい」「長時間残業、休日出勤は当たり前」「すさまじいパワハラ」「客とのトラブルが多い」…。ネット上でつぶやかれる大東建託の評判は、ブラックを連想させるものが多い。そして、まさにブラックと裏付けられる事件が、実際に起きている。

2007年10月4日、静岡県内の海辺で、男性の遺体が遺書とともに発見された。首つりによる自殺だった。男性は大東建託の社員であるTさん(当時42歳)だった。

02年に同社に入社し、藤枝支店の営業マンとして勤務していたTさんはトラブルを抱えていた。05年に担当した焼津市内のマンションの建設請負契約で、建築費用が予定より約3000万円超過してしまったのだ。

その損失の一部を穴埋めするよう上司に強要されていた。上司2人は200万円ずつ、Tさんは360万円を補てんすることが取り決められ、その旨の覚書にサインをさせられた。「お前が支払わなければ、関係者全員クビになる」などと、上司はTさんに詰め寄り、繰り返し支払いを求めた。

しらを切り続ける会社

Tさんは金策に悩み、精神的に追い込まれていった。ノルマ達成のため、連日の長時間勤務が続いた。休みもほとんど取らせてもらえず、すでに冷静さを失っていた。命を絶った日は、その支払い期限の日だった。遺族は、Tさんがなぜ死ななくてはならなかったのかまったくわからず、会社に説明を求めたが何の回答も得られなかった。

09年4月、遺族は労災を申請し、同年11月に大東建託を相手取り、4000万円の損害賠償を求めて静岡地裁に提訴した。これに対し会社側は、「支払いは強制していない。うつ病の原因は別にある」「覚書の存在も含めて、訴状の内容を確認しないとコメントできない」などと主張し、真っ向から争う姿勢を見せた。

10年6月、島田労働基準監督署は、Tさんの死は労災であると認定。上司からの度重なるパワハラによりうつ病を発症し、自殺に至ったと判断された。

「労災認定が出たことは認識しているが、コメントする立場にない」。労災認定が下りても、会社の過失を認める発言は一切なかった。

遺族は「一社員に現金を負担させるなんて考えられない」。謝罪はもとより、説明さえもしない大東建託の態度に怒りを隠さなかった。

vvvrf

超高額な報酬を受け取った元会長

360万円の金の工面に困り、自ら死を選んでしまった社員がいる一方、当時の大東建託の代表取締役会長、多田勝美氏の2009年度の役員報酬はおよそ2億5800万円と発表されている。

Tさんの死の悲しみが癒えることなく、労災申請や提訴などさまざまな局面に遺族がぶつかっていたころの報酬だ。翌2010年度の多田氏の報酬は、6億4900万円の役員退職慰労金を含め、8億2300万円。この年、国内3番目の役員報酬額だった。

連日、大東建託「営業職募集」の広告が転職サイト上に掲載されている。入社1年目で年収1000万円。募集要項に記載されている給与例だ。とても魅力的な数字だ。入社2年目で1890万円とある。どれだけの人がこの額を手にしているのだろうか。

相続税の増税により、節税対策のために借金をして賃貸マンションやアパートの建設に乗り出す人も少なくない。会社も土地オーナーも目先の金だけのために動いているようにも見えるが、これが現実だ。

業務上で起きたトラブルのツケを社員に負わせたようとしたことについて、これまで何もコメントしていない大東建託。優勝劣敗の会社で落ちこぼれていく社員たちにこの事件はどう見えているのか。

 

関連用語:自己責任 パワーハラスメント(パワハラ) 鬱(うつ)



 

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