株式会社ウェザーニューズ

好きで選んだ道、逆手に取られ
上司の言葉も自殺の引き金に

気象予報士になる夢は叶ったが

2008年10月2日、民間気象情報会社の最大手「ウェザーニューズ」の男性社員(当時25歳)が自宅で練炭自殺をした。4月に正社員として入社し、働き始めた矢先のことだった。

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男性社員は、2005年に関西の大学を卒業後、電機メーカーに就職した。しかし、子どものころから気象観測が大好きで、気象予報士になる夢を捨て切れず退職。猛勉強の末、2度目の試験で、合格率5%の難関を突破した。

「試験に合格したとき、ウェザーニューズに就職が決まったときには、ものすごく喜んでいた」と男性社員の兄は回想する。希望に満ちあふれた姿がそこにあった。

ひと月の残業時間は230時間超

仕事の内容は、テレビで放送される天気予報の原稿を書くこと。残業は深夜にまで及んだ。休憩もままならず、4月から9月までの6カ月で残業時間は計1000時間に及ぶことが男性社員の死後、明らかになった。なかでも、7月の残業時間は232時間54分に達していた。

それでも、男性社員は「予選」を無事通過するために歯を食いしばった。半年で適性を判断される「予選」を勝ち抜けなければ、気象予報士どころか、正社員からも脱落していくことになる。入社後6カ月の査定で、新入社員30~40人のうち、1人か2人は契約扱いになるという。

「何のために生きているのか」「なんでこの会社に来たのか。迷い込んできたのか」「なんで真剣に生きられないのか」。上司から人格を否定されるようなメールが何通も届く。さらに精神的に追い詰められた。

自殺前日の10月1日、上司から「予選通過は難しい」と告げられた。張り詰めていたものが切れた。翌日、男性社員は自ら命を絶った。

2010年6月、男性の遺族の申請により、千葉労働基準監督署は過労自殺と認定した。申請から認定までわずか8カ月。異例のスピードだった。

2010年10月、遺族は会社を相手取り、1億円の損害賠償などを求める提訴に踏み切った。男性社員の死後、遺族は会社に対し、謝罪などを求めて続けてきたが、会社は非をまったく認めようとはしなかった。

提訴されたことを受けて会社は「誠意をもって対応してまいりましたが、提訴されたと聞いて大変残念です」とコメントしている。

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会社の体質改善は進んでいるのか

しかし、提訴から2カ月後、会社は和解を申し出た。事件が明るみに出たことで、会社のイメージダウンは避けられなかった。これをいち早く食い止めたかったのだろう。会社は、遺族への謝罪、賠償金の支払い、再発防止を約束した。遺族側の全面勝利だ。

和解後の2011年1月、男性社員の過労死をきっかけに、職場環境を改善しようとウェザーニューズに労働組合が結成された。

しかし、改善は一向に進んでいないと組合員は訴える。組合員への嫌がらせなども続いているという。労働組合の委員長は同年7月に解雇された。これに対し、不当解雇であるとの申し立てを行ったが、棄却されている。

「ブラック企業大賞2012」でウェザーニューズはノミネートされ、特別賞を受賞した。よくないイメージを消すことに躍起になっているようだが、就職難に乗じて、若者の労働力を搾取し、死に至らしめた事実が消えることはない。

「実際に労働時間は減っているのか」。株主総会で出された質問の一つだ。「天気は眠らない」「社員は人の役に立ちたいという使命感を持っているものがほとんど」「就業時間に定められた時間内に収まるような労働環境づくりに取り組んでいる」と会社は回答した。質問の答えとして妥当なのか疑問だ。

 

関連用語:過重労働と過労死  試用期間  モラルハラスメント(モラハラ) ブラック企業大賞



 

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