大王製紙株式会社

創業者一族がグループ企業を私物化
100億円超の使途不明金を引き出した会長の特別背任

経営者のガバナンスが効かない

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「大王製紙」という社名より、家庭用ティッシュペーパーの「エリエール」と聞けばピンとくる人が多いかもしれない。

創業は1928年、井川伊勢吉が三島で興した製紙原料商が原形である。戦時中の1943年、和紙の製造を行うため、国策に従い14の企業が合同して大王製紙が設立された。

伊勢吉の孫にあたる井川意高(もとたか)氏が、グループ企業から105億円もの資金を借り入れ、使途不明金になっていることが2011年9月に発覚。意高氏は引責辞任した。

意高氏は2010年度と2011年4~9月にかけて、子会社7社から計105億円を借り入れた。

そもそも7社のうち5社は資本金3000万円ていどで、最も売上高のある「ダイオーペーパーコンバーティング社」でも、260億円程度である。

そんな子会社から、グループ企業の会長とはいえ、個人の立場で簡単に巨額の資金を引き出せた裏には、井川一族による「会社の私物化」があるといわれている。

意高氏は会長職を辞任する前、この7社すべての代表取締役を務めていた。しかも父親で伊勢吉の長男である井川高雄氏も2007年6月までは代表取締役を務めており、親子で子会社を支配していたことになる。

これでは経営の独自性がなくなり、ガバナンス(企業統治)は期待できない。

ちなみに伊勢吉から会社を引き継いだ2代目となる高雄氏は、「エリエール」をトップブランドに育て上げた立役者だが、社長時代の経営は強引でワンマン。「200人入社したら100人が辞めた」という伝説を持っている。

また意高氏の実弟・高博氏は大王製紙の特命担当取締役を務めると同時に、子会社5社の監査役、2009年6月まで「エリエールテクセル社」の代表取締役だった。

さらに高雄氏の弟で意高氏の叔父にあたる俊高氏は、大王製紙で副社長や会長を歴任した人物だ。

つまり「井川一族」が経営権の一切を掌握しており、いわゆる「外様(とざま)」の取締役には大きな発言力はなかったともいわれる。

意高氏はその後「特別背任罪」で逮捕・起訴され、最高裁までもつれ込んだが懲役4年の実刑判決が確定して、現在服役中だ。

※特別背任罪【とくべつはいにんざい】とは
会社法、保険業法等の規定による背任罪で、刑法上の背任罪より刑が重い。
発起人、取締役等が任務にそむき会社に財産上の損害を加えたときは、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金。(コトバンクより)

社長でさえ井川会長には“タダの使用人”

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事件が発覚したことで、大王製紙の井川一族による支配が想像以上に強いものである事実が明らかになった。

・井川一族の直系が在籍しているか否かで各部署の予算が決まる。
・人事評価が良くても、会長の鶴の一声で最低ランクに落とされる。
・入社したら、まず「井川家」について学ばなければいけない。
・井川家が人事権を握っている。

また、こんなエピソードもある。

ある総務部長が高雄氏を見かけたので、そのままスルーするのも失礼だと思い背後から声をかけたことがあった。すると高雄氏は急に激昂して、
「わしに声をかけるときは、前に出るのが普通だろ!」と怒鳴りつけたあげく、その総務部長を解雇したという。

現社長の佐光正義氏にも容赦はなかった。高雄氏が「おいっ、佐光!」と罵倒しているのを、多くの社員が目撃している。

佐光氏は井川一族ではない。いわゆる「外様」である。井川一族にとっては、社長でさえ「井川家に仕える使用人」にすぎないのだ。

井川一族によるパワハラの被害に遭っているのは、現場で働く社員も同様だ。

毎月60回の営業回りと上司への報告を義務付けられているのだ。もっとも顧客のほとんどが固定客なので、月に3回4回と訪問して「また来たのか」とうるさがられる。しかも16時半まで会社に戻るなと命令されているから、事務的な打ち合わせは就業時間外に行わざるを得ず、残業時間が増える一方なのだ。

当然に社員たちの不満が溜まっているはずだが、「“井川天皇”のお達しだから仕方ない」とすっかり諦めムードが漂っているようだ。

 

関連用語:パワハラ クラッシャー上司 宗教化

 

平藤清刀



 

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