西濃運輸株式会社

長時間労働、サービス残業を強要
三度にわたる退職届を反故にし、自殺に追い込む

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偽装された残業時間、実際はひと月98時間

「長時間労働で低賃金だから、運送会社では働きたくない」。こんな声をよく耳にする。実際、働き手がなかなか集まらず、入社しても長続きしない人が多い。特に、トラックの運転手不足は深刻で、物を運べないケースが生じ始めているという。

一方、ネット通販の急拡大で、扱う荷物の量はますます増えつつある。そんな中、業界最大手の西濃運輸では、仕事に疲れ果てた社員が自殺に及んだ。死ぬことでしか、仕事から逃れられなかったのか。

2010年12月31日、西濃運輸の神奈川県内の支店に勤務する事務職の男性社員(当時23歳)が、県内のキャンプ場で硫化水素を発生させて自殺した。

「毎日12時間以上働かされ、サービス残業を強要されたと遺書に綴っている。男性社員は07年3月に入社し、荷物の管理や顧客のクレーム対応などに従事していた。タイムカードの退勤時刻を刻印した後、また仕事を続けることが常態化していたという。

自殺した月の時間外労働は98時間にのぼることが調査で判明した。

精神的に追い詰められていた男性社員が、09年11月以降、退職届を三度出したにもかかわらず、会社に拒否されたことも死後明らかになった。自殺するまでの1年間、辞めたいと強く思いながらも叶わず、最悪の結果を招いた。

反省の色がまったく見られない会社の態度

労働基準監督署は2012年4月、男性社員の死を過労自殺とし、労働災害と認定。同年11月、男性社員の両親が、自殺の原因はサービス残業の強要などによるものだと主張し、慰謝料と時間外労働の未払い賃金など、計8100万円の支払いを会社に求める訴訟を横浜地方裁判所に起こした。

男性社員の母親は、「会社側はサービス残業の実態を認めず、反省していない」「息子に謝罪してほしい」と怒りをあらわにした。

これに対し、会社側は「規定に基づき対応を取ってきた」とコメントしている。長時間労働とサービス残業が続いていただけでなく、一度ならず三度も退職届を拒否し続けたことは、男性社員の生きる気力を失わせる大きな要因になったに違いない。

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退職の意思表示は、口頭でも有効とされている。しかし、のちに問題が生じた場合を考えて、対処しやすいように「退職届」として書面で提出しておくことが望ましい。

会社は退職届を拒むことはできないし、受け取りを拒否されても退職届は有効だ。すなわち正式な退職届を提出すれば、会社の承諾を得ずとも退職できる。男性社員は、過重労働によりうつ病を発症しており、冷静に判断できなかったことが悔やまれる。

世界に誇れる日本の物流を支える労働者

日本の物流は、安全、安心、きめ細かいサービスで世界一の品質を誇る。一方、燃料費の高騰や運賃の過当競争など、業界の経営環境は厳しさを増している。

会社を発展させ生き残るため、徹底的なコスト削減に乗り出した。日本の物流は、安い賃金で過酷な労働に励む労働者によって支えられているのだ。

社員の人権を完全に無視した会社の横暴さが露呈したことにより、西濃運輸は「第2回ブラック企業大賞2013」にノミネートされた。

西濃運輸の経営理念の冒頭に「会社を発展させ、社員を幸福にする」とある。また、「労働に対する正しい報酬が会社から得られること」という一文もある。

社員を死に追いやってしまった西濃運輸が、これからもこの経営理念を掲げるには、根本からの改善が必要だが、西濃運輸にその意思はあるのだろうか。一方で消費者も、適正な運賃を受け入れなければいけないのかもしれない。

 

関連用語:鬱(うつ) 過重労働と過労死  タイムカード

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