株式会社東急ハンズ

30歳男性社員が過労死
「残業は計画的に」と上司がサービス残業を指導

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一人の正社員に重責を負わせる

「しんどい、もう限界や」。こう吐きだした時には、すでに限界を超えていたのだろう。この後、就寝中に亡くなった。行政解剖により、心臓性突然死と診断された。2004年3月26日、早朝のできごとだった。

亡くなったのは、東急ハンズ心斎橋店(大阪市中央区)に勤める男性社員(30歳)。2007年11月、遺族の申請により、大阪中央労基署は男性社員の死は労災であると認定した。そして10年3月、遺族は東急ハンズを相手取り、約9100万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。

男性社員は、大学を卒業後、1997年4月に東急ハンズに入社した。神戸三宮店勤務を経て、心斎橋店オープンのため異動。

心斎橋店では、正社員である男性社員とアシスタント社員3名(契約社員やアルバイト)とチームを組んで、2Fキッチン売場内の調理器具を担当していた。

接客や販売をはじめ、仕入商品の選択、仕入先とのやり取りや事務処理、商品の品出しやレイアウト、アシスタント社員の指導、イベントの企画などの作業の判断を一人で行う「ショップマスター制度」(仕入販売員制度)を東急ハンズは採用している。

男性社員は約7000品目ある調理器具チームのリーダーとして、多岐にわたる仕事の責任を負わされていた。

休日返上、睡眠時間は4時間、が続く

残業をしないと到底終わらない仕事量だった。しかし、男性社員の場合、会社から与えられた「残業予算」は1カ月15時間だった。

「残業予算」の枠以上の残業をしないように、上司から毎日きつく指導されていた。

タイムカードに記録できる残業は1カ月15時間のみで、その分の残業代は払うが、それ以上の残業はタイムカードに記録を残すなということだ。「残業は計画的に」と上司は繰り返した。

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退勤の打刻後の残業は日常化していた。自宅から会社までの通勤時間は約1時間で、帰宅するのはいつも午前0時前後だったという。

会社退出時の「帰るコール」をいつも23時前後に受けていたことを、男性社員の妻が証言した。男性社員の睡眠時間は毎日4時間ほどしかなかったという。

休日出勤や始業時刻前の出勤も余儀なくされた。もちろん、タイムカードに記録は残さないようにしての出勤だった。亡くなる直前は、バレンタイン商戦に忙殺された。時間外労働時間はひと月90時間を超えていたという。

遺族の全面勝訴 夫は東急ハンズが大好きだった

2013年3月13日、神戸地裁は遺族の主張を全面的に認め、東急ハンズに対し約7850万円の支払いを命じた。長時間労働により疲労が過度に蓄積していたこと、上司からの度重なる怒号や罵倒により精神的ストレスを受けたことで、心身の健康を損ない過労死したと認められた。

会社側は「サービス残業の指示はしていない」などと主張し控訴したが、2013年8月に和解が成立した。「会社として重く受け止め、今後も従業員の安全管理に配慮したい」とコメントした。

「夫は子どものころから東急ハンズが大好きで、就職できてとても喜んでいた。最後までその気持ちで働いていたと思う。従業員の気持ちを考え、このような事故を繰り返さないでほしい」と男性社員の妻がコメントした。

1999年に結婚し、生後5カ月半の子どもを残して男性社員は亡くなった。父親としての使命感も生まれ、心身の悲鳴に自身が気付けなかったのか。無念だったに違いない。

東急ハンズ社長の新卒採用に向けてのメッセージが、ホームページ上に掲載されている。「もっとも大切にしてもらいたいのは『その仕事が好きだ』という気持ちです」という一文がある。会社も仕事も好きで、休日返上で取り組んだ男性社員こそ、欲しい人材ではなかったのか。

この過労死裁判事件が公になり、東急ハンズは2013年ブラック企業大賞にノミネートされた。

興味をそそり、思わず手に取ってみたくなるような生活雑貨、趣味に役立つ商品をそろえる店にふさわしくないイメージがついてしまった。

 

関連用語:過重労働と過労死 サービス残業 パワハラ

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