正智深谷高等学校/株式会社イスト

教育現場で利用される非正規教員
「偽装請負」を告発

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正規教員と同じように働いても低賃金

私立高校などで、人材会社に登録した教員が教壇に立つ“外部教師”が増えているという。

少子化による生徒数減は私学を経営難に追いこんでおり、学校側にとっては欠員補充の手間が省けるうえに、人件費が削減できる。

一方で、教員にとっては採用の門戸が狭くなっているため、教育現場への足がかりとして、やむを得ず迂回して非正規雇用の教員への道を選ぶ人も少なくないのだ。

女性講師(当時29歳)は、人材会社『株式会社イスト』(東京都・渋谷区)と業務委託契約を結び、2010年4月1日より『学校法人智香寺学園 正智深谷高等学校』(埼玉県・深谷市)の社会科の非常勤講師として勤務した。

出勤は週2回、一ヵ月16コマの授業を行う「コマ契約」で、月14万4千円を受け取っていた。

だが、学校による指示で、補講や会議、テスト問題の作成や採点などで時間外労働が常態化していたほか、教育実習生の指導など契約にない仕事までさせられていた。社会保険にも雇用保険にも未加入だった。

「直接雇用の教師たちと全く同じ働き方だった」と女性講師は振り返る。だが賃金は低く、時間外労働の分はもらえない。

健康診断も実費で受けるしかなかった。授業のない日にはアルバイトをして生活費を稼いだ。

2011年2月、当時の校長と直接雇用する旨の契約書を交わしたものの、すぐに破棄されるということもあった。そして2012年3月に、一方的に契約の更新を打ち切られる。働き方に疑問を感じながらの2年間だった。

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正規雇用と劣悪待遇の改善を求める

女性講師は厚生労働省東京労働局に、直接雇用の指導、助言、および勧告に関する申告をした。

それを受けて、2012年9月14日、東京労働局は正智深谷高校とイストに対し、労働者派遣法に違反したとして是正指導を行った。

業務委託を結んだ女性講師に、深谷高校が直接指示を出して働かせていたことが「偽装請負」に当たった。

業務委託契約においては、現場で講師に業務の指示はできない。何かあれば、人材会社を介して伝えなければいけないのだ。

正智深谷高校は「業務委託と派遣契約の違いを認識していなかった」とコメントしたが、派遣を本業とする会社が絡んでいる契約で知らなかったというのは考えにくい。

直接雇用などの問題解決に向け、女性講師は教職員組合とともに団体交渉を進めてきたが、学校側はこれを一方的に打ち切った。

これに対し、女性講師は2013年1月、団体交渉に応じるよう埼玉県労働委員会に不当労働救済の申し立てをした。2015年4月17日に、埼玉県労働委員会は女性講師の主張をほぼ認める命令書を下している。

同校教職員組合の書記長は、「学校側は、教員の首を自由に切るために二重請負という雇用形態を取っており、教育現場においてあるまじき行為。私学での非正規雇用が増加傾向にある中、誇りを持って働ける学校現場を築き教育の質を守っていきたい」と述べている。(2015年4月18日 埼玉新聞)

女性講師とイスト、イストと正智深谷高校が同時に業務委託契約を結んでいた。これが二重請負に当たり、高校側が間接的に低コストで人材を雇用しながら人事権まで握る、違法な請負を行っていたことになる。

2013年3月4日には、正智深谷高校とイストを相手取り、直接雇用と未払い賃金の支払いなどを求めてさいたま地方裁判所に提訴し、現在係争中である。

学校と人材会社はブラック企業大賞にノミネート

ラグビー選手など多くのスポーツ選手を輩出している正智深谷高校だが、学校自らがルールを守れないというのはいかがなものだろう。

人材会社イストは、「専門職に特化した人材サービス」をキャッチコピーに、今も教員を送り込んでいる。「人をモノとして扱う派遣や請負は、特に人を教育する現場では許せない」という女性講師の言葉をどう受け止めているのだろうか。

正智深谷高校とイストは、2014年ブラック企業大賞にノミネートされ、ブラックぶりが周知されることとなった。

 

関連用語:違法労働 労働組合 派遣切り

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