JR西日本

ありえない長時間労働の末、うつ病が発症して自殺
会社はその実態をまったく把握していなかった

月平均134時間の時間外労働、最長254時間に及ぶ月も

2012年10月、ある男性が職場近くのマンションから飛び降りて死亡した。

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遺族はやり場のない悲しみと悔しさを胸に、男性が生前勤めていた「西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)」を相手取り、1億9144万円の損害賠償を求めて大阪地方裁判所に提訴。

同社は労働管理の不備を認めつつも、賠償額について争う姿勢を見せた。

この一件でブラック企業のイメージがついた同社は、不名誉にも2014年の第3回ブラック企業大賞にノミネートされ、9位にランクインしてしまった。

社員の男性(当時28歳)は、2009年に東京の大学院を卒業して、総合職として同社に入社。福知山支社電気課や大阪電気工事事務所の設計課で勤務した後、同工事事務所で保安業務や工事業務などに携わり、その仕事ぶりやまじめでやさしい人柄から、将来を嘱望されていた。

電気設備工事の設計、計画、施工管理などを任されていた男性は、施工図面のチェックや工事の竣工検査、各種管理業務や資料作成など、ひとりで多くの仕事を抱え、多忙を極めていた。

男性はしだいに時間外労働が多くなり、乗客の安全に関わる保安業務という仕事の性質上、ミスが許されないことへの心労も重なっていた。

亡くなる前の1年間、平均して月に134時間も残業し、2012年3月の時間外労働はなんと254時間にも及んだ。

厚生労働省が定めた「心理的負荷による精神障害の認定基準(月160時間)」を96時間も超えている。

仕事量の多さや責任への重圧、休めないストレスなどから、男性は就寝中に「仕事が終わらない」とうなされるようになり、「大声で泣きたい」「死ぬことばかり考えている」と家族に漏らしたことさえあったという。

それでも男性は「同僚に迷惑がかかってはいけない」と会社を休むことはなかった。

2012年4月に結婚した男性は同年10月、まもなく新婚旅行を控えたある日、「ごめんなさい。ありがとう」と書き遺し、事務所近くにあるマンションの14階から飛び降りて自殺した。

その日もまた家に帰れず、夜通しで仕事をしていた。

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安全管理義務に違反し、JR西日本に損害賠償1億円の支払い命令

2013年9月、遺族は同社に慰謝料と逸失利益を求める訴訟を起こした。

第1回口頭弁論で、同社は社員の労働管理が甘かったことを認めたものの、遺族が求めた損害額の金額については争う姿勢を見せた。

しかし、男性の時間外労働が月30~40時間程度しか記録されていなかったことから、実際の時間外労働とは大きな差があったことが判明。同社の管理体制の不備も世間に知られることとなった。

大阪地方裁判所は同社に対し、「労働時間を正確に把握せず、社員の安全への配慮が十分でなかったためにうつ病が発症し、自殺に至った」と指摘。

同社が安全管理義務に違反したとして2015年3月、およそ1億円の支払い命令を下した。

同社はこの判決を受けて、「長期にわたって休日出勤や長時間の残業があったことは事実。社員の労働時間管理に万全を期し、再発防止に取り組む」としている。

同社は企業理念に「私たちは、お客様のかけがえのない尊い命をお預かりしている責任を自覚し、安全第一を積み重ね、お客様から安心、信頼していただける鉄道を築き上げます」と掲げている。

「かけがえのない尊い命」はお客さまだけではなく、そこで働く社員一人ひとりも同じ。

人々が安心して、安全な列車の旅ができるよう、もう二度とこのような悲しい事件を起こしてほしくないと切に願う。

 

関連用語:過重労働と過労死鬱(うつ病)コンプライアンス(法令遵守)
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