日本郵便株式会社

減り続ける年賀はがきの発行枚数と厳しくなる一方の販売ノルマ
その狭間で職員25万人が自爆する

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「ノルマはありません。販売目標です」by広報

郵政が民営化される前の2004年、年賀はがきの発行枚数は44億5900万枚だった。それが2014年には約34億枚に減り、しかも電子メールやLineの普及で販売数は年々伸び悩んでいる。当然に郵便職員は「販売ノルマ」を課せられ、その数は1人当たり数百枚から数万枚にのぼるという。

どうしても売れない職員は金券ショップに持ち込んで現金化し、差額は自腹を切る「自爆営業」が恒例化。ちなみに「自爆営業」という言葉は、ここから始まったのである。

明治維新で日本が近代国家に生まれ変わって以降、永らく国が運営していた郵政事業が2007年10月1日から民営化され、持ち株会社の「日本郵政株式会社」と、その下に「郵便局株式会社」「郵便事業株式会社」「株式会社ゆうちょ銀行」「株式会社かんぽ生命保険」が発足。2012年には、郵便事業の赤字を救済するために、郵便局株式会社と郵便事業株式会社を統合して日本郵便株式会社となった。

近年は宅配業者がサービスを向上させ、また電子メールが普及したこともあり、わざわざ郵便局を利用する機会は激減している。そんな世相を表すように、郵便物の取り扱い件数は年々減り続けているのだ。

自然の成り行きとして、年賀はがきの売れ行きも伸びない。せめて前年並みに近づけようというのが目標になっている。

各店舗ごとにノルマを割り振り、さらに店舗に勤務する職員一人ひとりにもノルマを割り振って、発行枚数を無理にでも捌(さば)こうとする動きが出てくるわけだ。

ノルマといわれても、売れないものは売れない。親戚や友人知人に買ってもらっても、たかが知れている。そこで全国的に行われているのが、金券ショップに買ってもらうという方法だ。もちろん額面より安くしか売れないから、差額は自腹を切る。

たとえば金券ショップに1枚40円で1000枚引き取ってもらったら4万円。額面は52円だから、店舗に売り上げを収めるときは、差額の1万2000円を自腹で負担するのだ。それでも1000枚まるごと自分で買い取ることを思えば、”被害”は少なくて済む。

ノルマは年賀状に限らず、「かもめーる」や「ふるさと小包」などあらゆる商品に及ぶ。職員1人当たりのノルマが達成できないと、最終的には管理職が不足分をかぶるから、10万円単位で自腹を切っている事例もあるという。

ジャーナリストの樫田秀樹氏は、著書「自爆営業」の中でこうした自爆営業の実態を暴いている。「日刊SPA!」によると、樫田氏が日本郵便広報部に問い合わせたところ、このような回答が返ってきたという。

「弊社にはノルマはありません。あるのは目標です」

ノルマの重圧に耐えかねて自殺した事例も

もしもノルマが達成できなかったら、やはりペナルティが課せられる。

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上司に恫喝(どうかつ)されることから始まって、全社員の前に立たされて「こういう恥ずかしい奴がいる」とさらし者にされたあげく、「皆様の足を引っ張りました」と謝罪させられる。

あるいは数人単位の「班」にもノルマがあるから、それが達成できないと、ノルマを達成した班を客に見立てて営業トークのロールプレイングをさせられる。経験者によると、これは相当な屈辱だという。

2010年12月、郵便局がまさに書き入れ時を迎えていたある日、さいたま新都心郵便局に勤務する職員の一人が飛び降り自殺した。この職員は過去に精神疾患で何度か休職していたことがあり、復職してからも抗(こううつ)剤を服用しながら勤務していた。

自殺する数日前には精神科を受診して、医師からは休職するよう勧められたという。だが自分の班からいっぺんに2人も退職したばかりで、自分まで抜けてしまうと同僚の負担が増えることを気遣って勤務を続けていたのだ。

またこの職員には、年賀状7000枚の販売ノルマが課せられていた。

この職員の上司は、遺族に対して「労災ではないこと」を念押しして、書類まで書かせたという。

大事な家族を失った遺族は、考える余裕がないままその書類を書いた。だが、労働環境に問題があったのではないかということに気づき、「精神疾患でたびたび休業していたのに、適切な措置を怠った」として、2013年に日本郵便を提訴した。

大量の自爆営業、達成できない職員への罵倒、屈辱的なペナルティ、そして自殺者まで出す職場環境。ポストに投函するだけでほぼ間違いなく届く郵便事業の信用は、こうした組織の深い闇と職員の犠牲によって支えられているのだろうか。

関連用語:自爆営業 パワハラ ペナルティ
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平藤清刀



 

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