株式会社丸八真綿

“肩たたき”拒否した男性社員を標的
会社分割制度を悪用し、整理解雇を強行

実体のない会社に転籍させられ、整理解雇に

「リストラ」は英語のリストラクチャリングの略で、「組織の再構築」というのが本来の意味だ。1990年初頭のバブル崩壊後、事業の不振を人員の削減でカバーしようとする企業が増え、「リストラ」という言葉は完全に市民権を得た。

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今では「整理解雇」の意味合いが強い。経営難を理由にリストラを強行する企業が多くなる一方だが、不当なリストラに対しては泣き寝入りせず立ち向かいたい。

「株式会社丸八真綿」も、リストラを強行した企業のひとつだ。2008年4月、寝具の製造部門で働く男性社員が退職勧奨、いわゆる“肩たたき”をされたが、管理職ユニオン・東海に加入し、これを拒否する姿勢を見せた。

同年8月、会社が新設した訪問販売部門「森田店」に、他の組合員2名とともに配置転換させられた。慣れない訪問販売を強いられたが、甘んじて勤めた。

半年後の2009年2月、丸八真綿は会社分割により、子会社「エム・フロンティア」を新設する。

「森田店」の業務を承継させるという名目だった。それに伴い、男性社員も転籍させられた。だが、新設してわずか7カ月後の同年9月、丸八真綿は「エム・フロンティア」を閉鎖し、解散。男性社員も整理解雇された。

「エム・フロンティア」は事業らしいことを何もせず、まったく実体のない会社だった。

「エム・フロンティア」は社員の整理解雇だけを目的に設けられた会社であり、男性社員は丸八真綿が仕込んだ“泥船”に乗せられたのだった。

男性社員は、解雇は無効であるとし、解雇後の未払い賃金、賞与の支払いなどを求め、丸八真綿を提訴した。

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会社分割制度の悪用と判断、男性社員が実質勝訴

この仕組まれたリストラ策に悪用されたのが、会社分割制度と労働契約承継法(会社分割に伴う労働契約の継承等に関する法律)だ。

会社分割制度は、企業組織の再編成を合理的かつ簡単に進めるため、2001年商法に導入された。会社分割制度は会社側に都合よく使われる可能性があるため、労働者保護の観点から制定されたのが労働契約承継法だ。だが、労働者を十分に守れる法律ではない。

会社分割制度を利用し、不採算部門のリストラを「合法的に見える」方法で行った結果、訴訟に至った事例はいくつもある。

新設会社に承継する事業はなく、会社分割を行う必要はなかったと会社分割の無効を男性社員は訴えた。「森田店」への配置転換から始まる一連のできごとは、丸八真綿の企んだ強引なリストラ策であったと、裁判所は男性社員の主張を認めた。

2011年3月、裁判所から和解勧告を受け、男性社員と丸八真綿は和解。解雇されてからの未払い賃金、賞与だけでなく、約2年半後に迎える定年退職日までの賃金、賞与までも会社が支払うことで決着した。事実上、男性社員の全面的勝訴だ。

「企業倫理宣言」で意識改革を図る

この一件が公になり、丸八真綿は2012年の「ブラック企業大賞」にノミネートされた。投票の結果、1254票を獲得。ノミネート10社中第3位という不名誉な結果を収めた。

丸八真綿は1962年、静岡県浜松市で設立され、現在は本部を神奈川県横浜市に置いている。高級寝装寝具の製造、販売を中心に事業を展開し、主に訪問販売により、顧客を開拓してきた。

社員数は約1400名、売上高は199億円(2014年3月期・グループ連結)。日本だけでなく、アジアを中心とする海外にも拠点を広げている。

2014年10月、丸八真綿は、「企業倫理宣言」を出した。企業倫理とは「誠実・公正・透明を最も尊ぶこと」とし、「常に『企業倫理』にかなった行動をとる」、「社会的責任や公共的使命を全うし、社会からの信用・信頼を確固たるものにする」、「『企業倫理』の高い企業グループを実現する」と宣言している。

この宣言が額に納められた飾りものとして終わることがなければ、ブラック企業のイメージは早いうちに払しょくされるに違いない。

関連ワード:解雇労働法労働組合



 

 

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