株式会社リコー

退職勧奨に応じない社員を「追い出し部屋」へ

取得した特許100件超のベテラン優良社員を追い出す

コピー機のトップメーカーとして業界に君臨する株式会社「リコー」が2011年5月、1万5000人規模の人事異動と3年で1万人の従業員を削減する「人員リソース改革」を発表した。

この年はリーマンショックによる影響で為替相場が大きく変化したことで、輸出部門の経営環境が急落。パナソニックやソニーなどの大手電機メーカーでも、これまでにない思い切ったリストラを断行せざるを得なくなっていた。

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リコーは東証一部上場、2014年3月期決算では連結売上高2兆2,000億円という優良企業だ。そのリコーが「人員リソース改革」を発表した直後の6月、まず1600人の希望退職者を募った。さらに7月には、会社が選んだ特定の対象者を希望退職に応募させるべく、上司による退職勧奨――俗にいう「肩たたき」が始まったのである。

このとき「肩たたき」に遭ったAさんは、入社以来ずっと技術畑を歩んできたエンジニアだ。取得した特許は100件を超え、社内での表彰歴も複数回ある優秀な社員だったが、再三にわたって退職勧奨を受けた。上司からは「会社に残るのであれば、生産系の作業か倉庫での単純作業に回す」と言われた。

退職勧奨を拒み続けているAさんに、ある日、異動命令が出た。物流系の子会社への出向で、仕事は終日立ちっぱなしの単純作業だった。そこはAさんより20歳以上も若い20代の派遣社員が多くを占める職場で、Aさんは慣れない肉体労働を強いられたのである。
さらに個人のデスクもパソコンも支給されなかった。誰が見ても、自ら辞めるよう仕向けるための嫌がらせ人事であることは疑いようがなかった。

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「新たな能力開発」と称する出向命令は、事実上の「追い出し部屋」

Aさんは同じ境遇にあった他の仲間らと共に「東京管理ユニオン」に加入して、会社側と交渉。出向命令の無効を求めて、東京地裁に提訴した。これは、いわゆる「リコー事件」として、各メディアで報じられている。

2013年11月12日に下された判決で、出向命令の無効が認められた。判決文は「出向命令は、Aさんらのキャリアや年齢に配慮されておらず、身体的・肉体的に負担が大きい。Aさんらが自主的に退職することを期待して行われたものであり、人事権の濫用である」として、会社側を厳しく批判する内容だった。

ところが、このような判決が出たにもかかわらず、会社側はあくまで合法性を主張したのである。

「Asagei plus」が2014年6月18日に配信した記事の中で、「リコー事件」に関して同社の広報担当者のコメントが取り上げられている。

「(裁判では)当社が出向命令権を有していること、出向に関する業務上の必要性があったことは認められた。すなわち、違法性はないという判断を得ることができたという認識です」(Asagei plusから要約)と、あくまで違法性を認めようとしない態度である。

1600人のリストラ対象をどのような基準で選んだのかについては、同じ記事の中で、
「部署ごとに6~10%の割合でピックアップしたようです。45~55歳という年齢で区切って、適当に指名したようですね」というリコー関係者の話が紹介されている。

つまり能力やキャリア、さらには会社への貢献度がまったく考慮されていなかったということだ。

リストラの対象になったベテラン社員たちのうち、退職勧奨に応じない者は「新たな能力開発」と称して子会社へ出向させられ、不慣れな肉体労働を強いられためにケガをしたり健康を損ねたりする者が続出したという。

リコー事件は、典型的な「追い出し部屋」の実態を知る、貴重な事例と言えるだろう。

関連用語 追い出し部屋解雇労働組合

 

平藤清刀



 

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