株式会社 A-1 Pictures

時間管理なし、7日間連続泊まり込み、3カ月間休みなし
好きなアニメの仕事で鬱(うつ)に追い込まれた青年の最期

1日あたり平均20時間労働の異常な世界

アニメーションの制作会社というのは、アニメファンにとってはある種「憧れの職場」ではないだろうか。その憧れの職場が、じつは超長時間の過酷な労働を強いられるブラック企業だったら……。

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アニメ制作会社「株式会社 A-1 Pictures」は、ソニー・ミュージックエンタテインメントの傘下にあるアニプレックスが100%出資して、2005年5月に設立された。略称は「A1P」。「おおきく振りかぶって」「黒執事」などの作品を世に送り出している。

同社に勤務していた男性社員(当時28歳)Aさんが、退職後の2010年10月に東京都内の自宅アパートで自殺しているのが発見された。

Aさんは、2006年から2009年9月まで正社員として勤務し、「制作進行」を担当していた。

アニメの制作は、まずシナリオがあって、絵コンテ⇒作画打ち合わせ⇒レイアウトなど多くの工程を経て完成に至るが、Aさんが携わっていた「制作進行」という仕事は、絵コンテ以降のすべての工程に携わるもの。制作が円滑に進むように働く調整役として重要なポジションだ。

社内の各部署とのパイプ役だけでなく、協力会社の担当者へ頭を下げに行ったり、作家から素材を回収して来たり、遅れている部署や作家を宥(なだ)めたりすかしたりしながら遅れを取り戻したりすることにも神経をすり減らす。さらに自ら資料を収集するなど、細々した雑用も多い。

とにかく時間と体がいくらあっても足りない状態で、Aさんは7日間連続で会社に泊まり込んだり、3カ月間まったく休みが無かったりすることもあったという。しかも同社はタイムカードで労働時間を管理する仕組みがなかっただけでなく、残業が常態化しているにもかかわらず、残業代が支払われた形跡がないことも後に発覚した。

Aさんが退職後に通院していた病院のカルテによると、勤務時間が「月600時間」「残業の多い月は344時間」などの記載があった。

月に600時間といえば、単純計算で1日20時間も働いていたことになる。プライベートな時間は4時間しかない。そのわずかな時間を通勤、食事、睡眠に充てていたということだ。

Aさんは体調が芳しくないことと、関連会社への異動を申し出たが聞き入れられなかったことを理由に2009年に退職した。

自殺の原因は「鬱」で労災認定

2014年4月11日、新宿労働基準監督署はAさんの自殺を労災認定した。退職後の自殺だったが、新宿労基署は時期を不明としつつも「在職中から、すでに鬱を発症していた」ことと、発症前の2~4カ月前に月100時間超の残業があったことを認めたのである。

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ちなみに、日本アニメーター・演出協会が2008年に業界の728人を対象に行った調査によると、アニメーターの9割が年収200万円未満で働いており、Aさんのように杜撰(ずさん)な時間管理のもとで、社会保険にも未加入という事例が多かったという。

新宿労基署がAさんの自殺を労災認定したことで、両親はA1Pを提訴。同社は「まったく予想外だ」として、Aさんの自殺と杜撰な時間管理との因果関係を否定する態度を取っている。

しかし、企業イメージが急激に悪化したことは認識したようだ。同社は、「明るい職場のイメージ」を作ろうとしているのか、Twitterにこのようなつぶやきを書き込んでいる。

「突然ですが、A1Pでは、毎月2回お昼のバイキングをやっており、おいしい健康的なご飯が食べられるのです!今日の献立は、菜の花も入っていて春を感じられました。いつもおいしいのですが、今日は特においしかったです!」(2015年3月17日 17:05)

元社員の自殺と労基署による労災認定で、ブラックなイメージが付いてしまったことを気にしているのかもしれない。もっとも「お昼のバイキング」といいながら、添付されている写真は仕出し業者の弁当だったが……。

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関連用語 違法労働サービス残業

 

参考:上記Twitterの書き込み

https://goo.gl/I2N16w

 

平藤清刀



 

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